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平和な日常にはバトルが必須【圧倒的処女作】  作者: 作作ころっけ
3章 嵐の前の静けさ
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7話 能力発現の広がり

文字数(空白・改行含まない):2499字

 キルカイア都市の大イベントのひとつである花火大会が終わりを迎えると、今まで賑わっていた展望台は一気に静まり返り、人が片手で数える程度しか残っていなかった。

 たくさんの人の帰宅ラッシュに飲み込まれながらもどうにか我が家にたどり着くことができたフェミア御一行はニルン邸に帰宅した後それぞれ別なことをして就寝となった。


 周りが眠りについているのにも関わらず、一つだけ小さなあかりの点っている部屋があった。無論、ルチーナの部屋だ。

 ルチーナはなにか思い詰めた表情で天井を見上げた。


『まだ起きてるか〜』


(?!)


 するとルチーナは壁を挟んだ反対側のベットにいるクロネコミリーに対して直接脳内へと話しかけた。

 もう少しで眠れそうだったミリーも案の定ビクッと全身を震わせて警戒した、ご主人なるミシェリーの真横にて。


『起きてるんだったらそのまま聞いてていいや、結構やばめな話』


(もう少しで寝れそうな感じだったのに……しかもなんだよやばめな話って……)


 未だ全身の震えが止まらぬミリーは若干キレながらも聞いた。


『盗まれた』


(…?盗まれた?)


『能力発現剤がない』


(能力……ってそれやばいやつじゃないの?!)


 ミリーは驚きのあまりしっぽを思いっきりブンブンと振ってしまい、危うくミシェリーを起こしかねた。


(ってかルチーナさんよくそんな落ち着いていられますね?!)


『いや、今日帰って知った時はそりゃあ驚いたよ、でもただ驚いてるだけじゃなんにも変わりやしないし、過ぎたことはしょうがないってことで、なんか落ち着いちゃってさ』


(それってつまり……)


『もう止めることは出来ない。ってこと』


 ミリーが言えなかったことをルチーナはサラリと告げてしまった。


 能力発現剤。

 数百年も昔にルチーナや清水含む計4人の子供が知らず知らずのうちに研究者の手によって摂取、それからその実験により魔法とは別の力、能力が発現するのを長年として研究してきたモノ。


 ルチーナはその能力発現剤をベースに、その真反対の性能となる能力消却剤の作成の研究資料としてずっと金庫付き引き出しの中に閉まっていたはずなのだが、花火大会でニルン邸を留守にしている間に何者かによって金庫が無理やりこじ開けられ、中身がごっそり持ってかれたのだ。


 それが表すことはつまり

 この世界に存在する4人の能力者全員が望んだ『能力を無くすこと』への大きな道がひとつ閉ざされてしまったのと同時に、キルカイア都市にとどまらず世界全体へと魔法とは別の力、能力が出回ってしまうことだ。


 能力発現剤によって得られる能力の種類は未知数、今は空間や物体、精神への直接操作が可能な能力だが、他にも液体や錬金、増しては無から有を作り出す能力すら出てくることも0%ではない。

 そうなってしまえば様々な属性がある魔法メインの魔神大戦よりも人それぞれが違う力を持ってする戦いのように酷い事が起きるかもしれない。


 なので今起きた事件は結構重大になってくる事のはずなのだが…


「はぁ……」


 ルチーナはもう疲れきった様子でベッドに仰向けで倒れ込んだ。

 壁の向こう側から微かに聞こえるルチーナのため息を聞き、クロネコミリーは思った。


 ルチーナさんだって本気を出せばキルカイア都市全体を支配できるくらいの力があるのではないか


 壁の反対側ならともかく何千何万と離れているはずの人間を対象にその精神を操作する能力を使えるのならば、キルカイア全体の人間を支配することなんて行けるのではないか、とても単純な考えなのだが…


『無理だな』


 ルチーナは即答、これもまたミリーの脳内で思っていたことを読み取りそれに対して、簡単な答えを言っただけなのだ。


(んな聞こうとしてたのに先に答えを言われちゃったよ……)


「クイズごっこなんてしてられないからね、さすがの私でもキルカイア全域の人間を一斉に操作するなんて気は起きねえよ』


(それじゃあ一人一人地道に頭の中を覗き込んでその能力発現剤に関する情報を持ってないか──)


「却下。一人一人あてもないのに探していくのは心が折れる、この都市の人口知ってるだろ。それともし早く見つかったとしてもそいつらの企んでることはもう既にネットの掲示板かなにかにかかれて意味が無い」


(そう…なるのか…… それじゃあどうしたら……)


『私に聞かれてもな』


 ルチーナは頭を悩ませた。

 これまでにこんな事態1度も起きたことがなかった。それにもし起きたとしたら、ということも考えることがなかった。


(だからと言ってそのままにするのも絶対にダメだし……)


『一応、できる範囲で覗けるやつの脳内覗いてみるよ』


(できる範囲?ってどのくらい?)


『周囲にいる人数にもよるけど大体私を中心に半径500m、人数はそれなりに』


(しないよりはマシなはずだと思う、やってみる…?)


『ぶっ倒れるかもな…』


(まさか)


 ルチーナは話をしつつ窓の外を覗き込む、ニルン邸の立地の関係もあるが、そこにはもう日付を跨いだキルカイアの景色が一望できた。

 見たら見たで今度は先程まで座ってたベッドに戻り、またまた仰向け状態になって目を瞑る。


(ほんとに、やるの?)


『………』


 急に静かになったルチーナに心配そうに思いをかけるミリー、だがルチーナはその言葉をまるっきり無視、集中モードに入ったのだ。

 そしてルチーナの状況察したのかミリーはこれ以上邪魔にならぬようただ願うだけの形となってしまい、ルチーナを更に集中させるため少なからず貢献する思いでいた。


「ふぅ…………」


 壁の向こう側でルチーナの大きな深呼吸が聞こえてきた。

 ルチーナ自信今からすることがこれで初めてなのか、それか1度経験してトラウマが植え付けられているのか、どちらにせよいつものルチーナとは様子が違った。


「よし……」


 大きな深呼吸を済ませた後、ルチーナは"かるく"集中をした。


 そしてそのすぐあと、ルチーナを中心とする半径500m範囲の人口の脳内を一人一人覗き込み、能力発現剤に関する情報を保有している人物が居ないか確認したルチーナは、その能力を使った反動などではなく、ただただ眠たいだけだからと、そのまま寝てしまうこととなり、どうにか次の日の昼には起きることができたのだった…

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