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平和な日常にはバトルが必須【圧倒的処女作】  作者: 作作ころっけ
3章 嵐の前の静けさ
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6話 口を開けると虫が入ってきますよ

文字数(空白・改行含まない):2354字

「ちきしょぉぉぁぁっっ!!」


 フェミアがチラシで見た花火大会当日、お昼頃にとある女性の雄叫びが聞こえた。


「ルチーナさん、これは自業自得ってやつだから!」


「うぐぅ……いやまて、私は悪くない!悪いのは今日に限ってくるってた目覚まし機能だ!」


「なんでも物の所為(せい)にしないでよ!って、目覚ましのアラームは私の耳にも届いてましたけど?!」


 色々と言い訳をしようとするルチーナを抑えミシェリーはそのまま目の前にある夏休みの宿題に目線を戻した。


「お昼は何にしようかしらね〜」


「あ、そこの棚にパスタがあったはずですよ?」


 ルチーナとミシェリーの言い争いを他所に、ひょこっとフェミアが顔を出し昼食の提案を投げかける。それに答えるように清水が口を開いた。


「ほんと〜?じゃあ今日のお昼はパスタですね〜」


「今暇なんで僕手伝いますよ!」


「助かるわ〜それじゃあノルアちゃんと一緒に3人で作りましょうか〜」


 というわけでキッチンの方ではフェミア、ノルア、清水の3人によって中食のパスタ作りが開始された。

 ちなみにそのタイミングで清水の耳には今日の花火大会の情報が入り、花火大会に行く人数が1人増えた。



 時間は進み現在時刻19時過ぎ、ニルン邸から身を出した5人+1匹はキルカイア都市の全貌を見ることができる高台の展望台にいた。


「いや〜久しぶりだな、ここからの花火は〜!」


 ルチーナの姿は浴衣などのオシャレは一切せず、いつものラフな格好に右手にはアイスとジュースが入ったコンビニ袋をぶら下げていた。


「私は初めて!あと何分なのっ?!」


 次にミシェリー、ミシェリーは特にこれといった荷物は持ってなく、強いて言うなら肩にクロネコが乗ってるだけ、こちらもルチーナ程ではないがワンピース1枚の涼しそうな格好をしていた。


「およそ10分位でしょうか、少し長く感じるかもしれませんね」


 ミシェリーの疑問に答えたのはノルア、ルチーナやミシェリーのようなラフな格好では無いが、ある程度通気性のある服を着用、さらに左手の方には何かと役に立つような物が入っている片手バックをぶらさげている。


「それにしてもほんとに楽しみだわ〜」


 子供のようにとにかく花火大会を楽しみにしていたのはフェミア、みなをここに連れてきた当人の格好的は、ノルアと同じようなもので、右側にある肩掛けバックの中には財布やら何やら、ザ・主婦な感じの肩掛けバックを肩から垂れさげていた。


「今からでもかき氷買って戻るまで間に合うかな……?」


 今にも駆け出しそうな体制になっているのは清水、ポケットに入っている財布を取り出しながら展望台から下を覗くように賑わっている屋台の方を見て、今にもかき氷を買いたそうな雰囲気を(かも)し出していた。


「にゃにゃにゃ〜」

(花火大会久しぶりだな…)


 最後に周りの声にかき消されそうになった1匹の鳴き声の主、クロネコミリーはミシェリーの方の上で1人…1匹呟いた。


 キルカイア都市の花火大会の打ち上げ点は、勿論都市内部ではない。

 キルカイア都市内部で花火玉を打ち上げようものならば、目に見え何何かに当たったりと多少であろうと被害が出てしまう。

 しかし花火玉の打ち上げ点はキルカイア都市の外側のどこか1箇所、という訳では無い。

 その花火はキルカイア都市を囲む形で全方位で一気に打ち上げられ、展望台からの距離が離れて少し小さく見えることがあっても、1尺玉や魔法をつかったそれ以上の大きさ、音を出す花火で迫力もかけることが無く、その夜空に浮かぶ火の花はとても綺麗に見えるのだ。


「そろそろ2分前に入りますよ」


 各々時間を潰した後、ノルアが突然告げた。


「えっ、ほんと?!」


「お?明かり消えたな〜」


 打ち上げられる花火をより綺麗に見るために、キルカイア都市の大部分のライトがポツポツと消えてゆく。


「この電気を全部管理してる人大変ね〜」


「なんだか久しぶりの感覚になるな」


 打ち上げまで残り1分、消えきった沢山の光を見ながらフェミアは言った。

 対して清水はかき氷片手に、久しぶりな感覚に浸っていた。


「のこり30秒」


「20〜」


「じゅー」


「ごー」


「4」


「さん〜」


「2」


「いち〜〜」



 ピューーーーーー………… ドォォォンッ



 5人のカウントダウンがゼロになった瞬間、真っ暗闇の夜の空に都市を囲むような形でいくつもの光のスジが伸びていき、やがて天高く上り詰めた(のち)、一瞬にして大きな花びらが出現した。

 暗闇に満ちていたキルカイア都市がひとつの大きな花弁を元に、全ての建物が照りつけられた。


「やっぱこれよね〜キルカイアの花火大会ってのは」


 周りで一気に何十発と打ちあげられるのを目をきらきらさせて見ながらもルチーナは口にした。その隣でミシェリーは口を開けたまま前も後ろも全ての方向を囲むように夜空に浮かぶ花火から目が離せないでいた。


「夏って感じがするわね〜」


「そうですね」


「やっぱかき氷買って良かった…」


 ほか3人もそれぞれ口から自然と感想がこぼれた。それから約数十分、何万発もの花火を5人は無言で見守っていた。


 俺は今とても平和な景色を目に焼き付けている。

 ルチーナの記憶にあった酷いどころじゃ済まされぬような景色ではなく、誰もが楽しく笑って生活できるこの平和な景色を。

 ふと思った。「この景色を守らなければ」。ルチーナの記憶を見なければこんなことは思わなかっただろう。けれど記憶を見た今、俺は絶対にこの景色を守るために、その景色を破壊するような元凶となるものを一つ一つ潰していかないといけない。

 そしてその元凶の内のひとつ。転生者を調子に乗らせないこと。

 そのひとつの目標こそが、ルチーナ含む3人の能力者共通の目的のひとつであった。


 その日、クロネコの中でなにか力が湧き出るような感覚がみなぎってきて、そしてその感覚を何者かに打ち消されるような、そんな不思議な感覚を覚えた。


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