2話 ミリー、己の性別を知る
文字数(空白・改行含まない):1344字
少し長めの食事が終わったあと、俺は再びご主人のミシェリーの肩に乗った、乗らされた。もう半強制的だったが人の歩幅に合わせて歩くのが結構疲れるので案外これは楽でいい。
そしてミシェリーと共に向かった先は昨日ミシェリーと寝た部屋、多分ミシェリーの部屋。
扉をガチャっと開けて中に入り、俺はベットの上に座らされた。
「ん〜今から何しよっかミーちゃん?」
そして唐突に問いかけられた。
ご主人が俺に何しようかと言われても俺はこの世界に全く詳しくない、何もかもだ。
なんでこの世界の人が喋っている言葉が分かるのかは謎、まぁ今は置いておくとして、とりあえずご主人に返す言葉が見つからない、というかその前に俺はネコなので喋ることができない、言えるのは「にゃー」のみなので、どっちにしろご主人の独り言をたんたんと聞くしかないのだ。
「そうだね〜何がいいかなぁ〜」
結構悩んでる、ご主人そんなに悩みますか、なんかほらさっきみたいに外で遊ぶとか、家の中で騒がしくない程度に遊ぶ〜とか、俺じゃこれくらいしか思いつかないけど、何か暇つぶしになるもの考えてくださいよご主人!
「ん〜……そう言えば私、ミリーのことちゃん付けで呼んでるけど女の子が男の子かどっちなのかな?」
ということでご主人の考えた先がこちらの「俺の性別はどっちでしょう」ということになった。
っていうか俺本人もオスかメスなのかわかんない、一応中身は男なのだが正直この世界に来てお股の方を見ようとはしてないし、なんから尿意とか便意とか、そんなものも感じなかったきがする。これって結構やばいかな…病気とかだったらやだよ…転生そうそう病にかかって死にましたとか悲しすぎる。
「それじゃあごめんねミーちゃん、ちょっとだけ見せてね〜っと……」
「にゃーにゃにゃ…にゃーーっっ」
(や、やめろっ、人……ネコをひっくり返して性別確認するなぁっ!)
ただ眺めてるだけじゃ分からないと、ミシェリーは急に俺の座っていた体をクルット一回転、仰向け状態にしてとある所を見つめてる。
「にゃ、にゃにゃぁっっ!」
(そんなに見つめんなおらぁっ!)
俺は必死に抵抗するため前足後ろ足、そしてしっぽをブンブンと振り回す、とにかく抗うためにわちゃわちゃしていたが、人様には勝てなかった。
ブンブン暴れていても、サッと前足後ろ足を抑えられ、また見つめられた…
もうやだ、恥ずかしい…やめてくれ……
「んー…これはどっちなんだろう…男の子ならおちんちんがあるはずだし…」
えっ、俺おちんちんないの?それかめっちゃ小さいだけなの?
俺はクロネコ(♀)になってるのか?!ごっ、ご主人!早く答えを!
「でもでも。女の子なら私みたいな感じって、聞いたことがあるし…」
………え?今なんとおっしゃいましたかご主人。
おちんちんもないって言われ、そしてご主人のような感じでもない……それって…?
「にゃ、にゃにゃ〜?」
(性別不明の無性クロネコってこと?)
「ねぇねぇミーちゃんは女の子?男の子?どっちかな?」
「にゃぁっ!にゃにゃっ!にゃにゃにゃぁっ!」
(俺に聞かれても知らねぇよ!あとそろそろ元の体型に戻しやがれ!)
だが実際にミリーの言葉はミシェリーには届かず、ミリーはずっとその体制のまま、ミシェリーの独り言を聞かされるのであった。
もう勘弁してくれ……