11話 静まり返る夜の会話
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「そう言えばさ」
とっくの前に夜食も終わり、現在の時刻は午後11時過ぎ、ルチーナはテーブルの上に山積みにされている紙の束の中から1枚のチラシを出すと、それをフェミアに見せつけるように押し出した。
「完全仮想空間……新しいゲーム〜?」
「そ、今までのゲームとは全く種類の違う、完全に仮想空間で自分自身のアバターっていうか、もう自分の体がゲームの世界に入ったって考えた方がいいかもしれない、そんなゲーム」
「そ、それがどうしたのかしら〜」
いきなり説明しだしたルチーナを前に若干困惑気味のフェミアはまだ説明が足りぬと聞き返した。
部屋が暗い所為かフェミアの困惑気味の表情にも気付かぬままルチーナは説明を続けた。
「まぁ普通に考えてみてよ、さっきも言ったけど、簡単に説明したら「ゲームの世界に自分が入れる」ってこと」
「ん〜、ってことは〜実際に自分で剣を持って敵を倒せるってことかしら〜」
「そうそう!それにそのゲーム機器によって脳に刺激を与えてその剣を持つ感覚すら味わえるらしいの!」
もう完全にゲームに入り浸ったオタクと化した目の前の人間を見て相変わらず困惑しているフェミアはこの会話にあまり興味が無いと言わんばかりに話をそらすことにした。
「あっ、そうだ〜…最近あの研究は進展を見せたの〜?」
「それでね!……って、途中で話変えるなよ……全然進んでない、以上」
ルチーナはフェミアの問に対して超簡潔に言い渡しゲームの話の続きをしようとしたが、それをさせぬが如くフェミアは口を開く。
「それにしても……ミシェリーが心配だわ〜…」
「もう大丈夫だと思うぞ」
「そうかもしれないけど〜……」
不安がるフェミアに対し、そんなに気にしてないルチーナは簡単に言う。
「摂って発現するまで最高でも1~2週間、期間はもうとっくにすぎてるんだし、私生活見てる感じ特に変わった点もないんでしょ?ならもう大丈夫」
「でも〜……」
「もしもの時は私の"能力"でどうにかするよ」
「ん〜………」
ルチーナのフォローに感謝するしかないフェミアだがまだ一向に不安は拭いきれていなかった。
ルチーナの言った能力、それはキルカイア都市という超発展都市ができる前から開発が成されていた一部の人間のみしか知らない人体実験。
4人の少年少女が被検体となりこの世界にある魔法とはまた別の力『能力』というものを発現させる普通では簡単に成功しないような人体実験である。
だが……
成功してしまったのだ。
1人目は自分以外のどんな生物でも心を読み取ったり支配するなど容易く精神をいじくることができる人間、精神操者。
2人目は固形物である物を、触ってもいないのにまるで手に取って動かすことができるような人間、物体操者。
3人目は自分の周りの温度を自在に上げ下げしたり、風魔法では不可能な分子レベルの空気を操ることの出来る人間、空間操者。
そして最後の1人は当時の研究機関でも不明である能力。先に述べた3人の能力より弱いのか、はたまた考えられぬほど力を宿ったものなのか、それは今でも分かっていない。
ルチーナの言う『能力』というのがこんな感じのものに対し、それでは「魔法」とは一体なんなのか……
キルカイア都市には何百万人という沢山の人間がいるが、その中でも魔法を使えるものは数十万人と、そう多くなく限られていた。
魔法はほとんどの人が1人につきひとつの属性しか扱うことが出来ない。
火を操る者、水を操る者、風を操る者。この3つの属性に別れるが、「ほとんどの人が」なので、少なくとも例外はいる。
その例外がふたつの属性を同時に操ることが出来る二重操者である。
火と水を同時に操る者や、水と風を同時に操る者など約3通りである。
ちなみに3つの属性を同時に操る者は未だにいないという。
話が大きく逸れてしまったが、フェミアが心配していることはルチーナの発言のおかげでなくなり、しかしルチーナはフェミアとはまた別のことで頭を悩ませているのであった…
さあ、魔法のことを細かく言いましたけど3属性しかないらしいです。
それじゃあノルアさんの回想シーンは……?




