一方その頃(記者会見)
6月も半分ほど過ぎましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?梅雨の間はあまりお風呂の好きではない作者も入りたくなります。
こう、じっとりした汗をかく感じがキモチワルイです。
俺はカメラマン、とあるテレビ局のカメラマンをしている。あ、別に『カメラマン』って名前なわけじゃない。
「今回の会見、やっぱりダンジョンがらみですかね?」
同局の記者に尋ねると予想通りの答えが返って来た。
「それ以外ありえないでしょうね。寧ろの今回の記者会見がダンジョン絡みじゃなきゃ最悪バッシングされるわよ」
その後も記者と駄弁りつつ時間を待った。
「え〜、今回の会見は御察しの通り、特殊地下構造体、通称ダンジョンと日本の食事情についてであります」
「食?一体どう言うことかしら?」
どうやら記者も俺と同じく分かっていないらしい。
「現在、我が国の食料自給率は39%と半分を切っております。そして、今回の世界同時多発特殊地下構造体出現につき、海外からの輸出入が完全に止まっております」
「なっ!?」
これには記者もとても驚いていた。他局の人達もそうだ。ざわざわしている。
「質問は私の話が終わった後に受け付けますので、最後まで聞いてください」
加納首相の言葉で会場はしんとした。
「え〜、そして、もう1つのピースが、特殊地下構造体内生物、通称モンスターの討伐についてです」
ピース?
「このモンスターはまず、銃弾が効きません」
またもざわざわし始めた。
「ですが、どうやら近接戦闘は効果があり、ナイフや格闘術などにより対処可能です」
少しざわつきが落ち着いた。
「そして、モンスターは死亡すると光の粒となり、別の物質へ変わります」
また激しくざわつき始めた。
「結論から申しますと、このモンスターは光の粒から高確率でモンスターの肉を落とします」
さらにざわつきが大きくなり「まさか」や「もしかして」などの小声が聞こえる。
「え〜、御察しの通り我々はダンジョン産の肉を食料にしようと考えています」
ざわつきがさらに増して最早ガヤガヤしている。
「不安も多いことと思いますが、成分分析はすでに済ませ、農林水産省のホームページに記載してありますのでご確認ください」
この言葉を聞いて少し落ち着く。
「それでも、食べるのは不安、という方もいると思います。ですので今回はデモンストレーションを用意しました」
首相がそう言った後に出て来たのはコックだ。まさか。
「今ここで調理し、私が食べます」
騒めきが最高潮に達した。隣で記者が信じられないものを見る目をしている。
「この肉は人型のモンスター、通称ゴブリンから変化した肉です」
どうやら先ほどの騒めきは最高潮ではなかったようだ。
「このゴブリンから変化した肉は蒸す以外の調理をすると味が格段に落ちます。必ず蒸して食し、蒸す以外の料理法で食べた場合、自己責任でお願いします」
騒めきは収まっていない。記者や報道陣は質問が山ほど湧いた、と言った顔をしている。
「では、いただきます」
本当に食べた………。首相の食事シーンなんて超レアだ、とか余計な思考が浮かんでくる。まぁ、生放送で食事した首相なんて俺の知っている限りいない。そして、肉を飲み込んだ首相が。
「以上で説明を終了します。質問の受付を開始したいと思います」
そう言った。
記者や報道陣が一斉に手を挙げ首相が一人一人答えていく。
「狼型やウサギ型、鳥形なども発見例があるようですが、それらの調理法については分かっているんですか?」
「狼型は焼き、ウサギ型は揚げ焼き、鳥形は唐揚げにしてください。油の量に注意しないと味が落ちますよ」
………加納首相は前々から大胆不敵とか言われてたが、どうにもアグレッシブが過ぎるよ………。首相が会見中に毒味をするなんて前代未聞だ。まぁ、自分の身より国民を思っているから総理に収まったんだが、今回はやりすぎだ。浅知恵しか持たない俺でもわかる。今回は辞任は免れないって。
恐らく野党から『総理が倒れたら一大事だ!いくら成分分析をしたからって』とか云々チクチク言われて辞任に追い込まれるだろう。まぁ、この会見を見た国民は皆んな加納首相が国民の不安を消そうとした事が分かってるから、野党以外からはバッシングを受けることは少ないだろうが。
その後、会見は滞りなく終わり、加納首相はダンジョンに関する新法をダンジョン発見から2ヶ月で成立させた後、辞任した。
つい先日、開花宣言されて、九州では既に咲きの早い桜がだいぶ花を付けています。超インドア派の私からすると桜なんて………。と言う思いでしたが、久々に見るとやはり綺麗です。それに、家で書くよりも少しスッキリするのは外の開放感からでしょうか?まぁ、だからといって話のネタやアイデアが都合よく浮かんでくるわけではないのですがね。