2.第1階層②
正直、20話くらいで最初のダンジョンから脱出するつもりだったのに、説明回的なのを入れてたらいつのまにか30話くらいに届きそうに………
さて、水場を見つけて安心していた俺だがまだ早い。ゴブリンの群れもまた水場にいた上、大声を出したから奇襲もできない。まぁ、群といっても3体しかいないわけだが。
「さぁて、どうやって倒そうか」
実はここまで数回ゴブリンとは戦闘しているが、複数匹一緒なのは初めてだ。
とりあえず、持っていた錆びた剣を捨てて包丁を一本出し、持ち替える。対して相手の武器は素手、素手、棍棒だ。棍棒と比べるとこちらの方がリーチは短いが、取り回しはこちらが上。相手が多い上、相手は弱いなら手数があったほうがいいだろう。
戦闘が始まった。
まずどうやらゴブリンには戦略というものがないらしい。まぁ、人型とはいえ知能があるかすら怪しいが。
全員が一気に向かってくる。歩幅がまちまちで素手2人が先に俺に飛びかかってきた。見切って確実に交わした後、片方の首を切り裂く。残り二匹。
仲間が殺されたところを見ても変わらず「グキャゲキャ」しか言わないゴブリンの攻撃を再び避ける。が、素手ゴブリンの攻撃を一発受けてしまった。俺のふくよかな腹に。貧弱すぎて痛くなかったのでこちらも首を切り裂く。残り一匹。
二匹殺されたところでようやく俺のところまで到着した棍棒持ちの振り下ろした攻撃を躱し、ボディプレス。ゴブリンは後頭部を打って死んだ。
「ふう、何とかなったな。しかし、いつもよりリーチがないからあいつらの血でベトベト………」
血でベトベトだったが、血も光の粒子になって素材と経験値に変わった。
「お?」
見たことないアイテムがあった。
《ゴブリンの魔石》
ゴブリンの体内に稀にある魔力が結晶化したもの。ゴブリンの魔力は貧弱なためなかなか結晶化しない。希少な割に使い道は少ない。
どうやらこの赤い結晶が魔石らしい。
◆◇◇◇◆
「ふあ〜、眠い」
俺はいまピンチだった。眠いのだ。このゴブリンが少なからず跋扈している場所で、眠たいのである。
「やばいな。流石に寝ると死ぬ」
そう思って、寝ないように歩き回っているが、そろそろまじでやばい。
「ムム?」
俺は発見した。下階層へ(セーフティエリア)とかかれた扉を。
翌日
「ふ〜、よけ寝たばい」
似非九州の方言が出たが、これでも死なずに起きた事を安堵している。どうやらこのダンジョン、下階層への階段の前にセーフティエリアがあって、何と調理器具や水が無限に湧くツボが置いてあった。全部持って行こう。(ゲス顔)
「んむ?なんか、体が軽い?てか、痩せてる?ん〜?たるんだ腹や腕が少し細くなったような………」
思案し、こういう系の物語での定石やパターンを思い出し、至った結論。
「………あ、レベルアップか」
おそらく間違いないだろう。昨日は歩き詰めだったのに、筋肉痛もなく、さらに1日では考えられないくらいに痩せた気がする。レベルアップの恩恵が寝ている間に更新されたのだろう。だが、これでは遠くないうちにボディ圧殺が使えなくなってしまう。
思わぬレベルアップのメリットとデメリットを感じたところで今日は2階層へ行ってみる。