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2話 お帰りなさい

「っ!」


急に目が覚めた。


気が付いたら、部屋には僕以外誰もいない。


夢だったのか?


少し残念だった。


小さい頃から見る夢に現れた女の子がようやく目の前に来たかと思った。


気になる。


その女の子の正体は…一体?



窓の外から差し込む眩しい光。


今日は大学の入学式。


遅刻だったら大変、急がないと。


支度して、出かけよう。


新しい住所は大学の近くにあるアパートなので、そんなに慌てなくてもいい。


交通機関を利用する必要はなく、歩いて行くだけでいい。


「行ってきます!」


玄関から出かけるところ、誰もいない部屋に一言の挨拶。


どうせ、返事はないだろう。


ドアを閉める瞬間、部屋から…


「いってらっしゃい!」


だが、僕はもうその返事が聞こえない…


道を歩いている時、昔をしのばせる建物を見て、まさに隔世の感がある。


古都は、何千年の歴史がある町だ。


その故、古代ならではの街並みが伝承されてきた。


一見、木造建築が多く、ほとんど低い建物だ。


雨上がりの街並みはすがすがしい感じ。



入学式が無事に終わったから、キャンパスを散策しようか。


ん、その賑やかなところは?


サークルのメンバーの募集かな。


サークルにはあまり興味がないが、これも大学生活の一部だろう。


あるサークルの名前に引かれた。


『心霊研究サークル』。


なんだそれ。


「あの、そこのあなた!」


急に誰かに声かけられた。


振り向くと、一人の小柄の女の子がいた。


メガネっ子だ。


「何のご用?」


「幽霊に興味ある?」


「急に聞かれても…」


「興味あるなら、ぜひぜひ心霊研究サークルに参加してください!」


「まぁ、一応考えさせてもらう」


「ふふ、もしかして幽霊に憑かれるじゃないか?」


「…何で」


「もし興味があれば、ぜひ!待ってるよ」


女の子が一言を残し、行き去った。



今日の用事が終わり、アパートに戻った。


ドアを開ける時。


「ただいま」


と言っても、返事はないんだよな。


「お帰りなさい」


その鈴を転がすような澄んだ声。


夢の中に何度も聞いた女の子の声。


惚れてしまった声。


目の前にいるのは、白い浴衣を着ている女の子だ。


その長い黒髪は… 間違いなく、昨夜、夢の中に現れた幽霊の子だ。


「君は…」


「妾の名はかすみ。主のお付きの者」



「昨夜のは夢ではないよ、主」


「主が戻ることを感知できたから、会いに来たの」


「主?人違いだろう」


「いえ、間違いないの。ただ、主は女のはずなのに…」


「ほら、やっぱり人違いだ」


「ううん、そなたは間違いなく妾の主なの」


「そんなことより、いつも夢に現れるのは君だったのか?」


「何それ、知らないの。そうそう、今日からここに住ませていただくの。よろしくね」


「おい、勝手に決めるな!」



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