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閑古庵のお便り  作者: 稲生 萃
一通目 生きながら
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一通目 生きながら 六

登場人物は変わっていません。

彼女を自ら助けた結果知った事実の一端

 あたしは先生と呼ばれた人から受け取った小さな容器を握りしめた。明日香ちゃんを助けるためなら、助けられるなら、あたしはやり遂げる。

 強くそう思ったものの、いつ動くか分からない敵を前にして怖くないわけ無い。恐怖心との戦いでもあった。

 あの人が言うにはこの容器をあの黒いヤツに触れさせることができれば良いらしい。だけど、投げる方法は好ましくない。……他に方法あるっけ……。

「自分からアレに突っ込むなよ。向こうから襲ってくるのを待ったほうが良い」

「えぇ……先生本当に直美ちゃんにやらせるんですか!」

「大丈夫です!!出来ます!!やってみます!!」

 翠さんの心配はありがたいけど、これはあたしがやらなきゃ。先生?はアドバイスくれたし、きっと大丈夫……。

 突然、黒いヤツが動き始めた。漂っていた所からあたしに向かって風のようにスッと向かってきた。

「うひゃっ!」

 思ってたより速い!紙一重で避けられたけど!

「……見てられない!直美ちゃんしゃがんで!」

「はいっ!?」

 何をするのか分からないけど翠さんの言う通りしゃがむ。すると直後に頭上を何かが素早く通ったような風を感じた。

そして私の目の前にフラフラと落ちてきた黒いモヤ。

「ひぇっ……」

「お〜綺麗な蹴りが決まったねぇ」

「直美ちゃん早くアイツを入れ物に!」

「わっわかりました!」

 フラフラして襲ってくる気配が無い今がチャンスだ。あたしは黒いモヤに入れ物を突っ込むように触れさせた。

 入れ物がわずかに光を放ち、黒いモヤを吸い込み始める。

「お見事」

「先生、評価するのは良いんですけどお客さんを危険に晒すのはどうかと思います……」

「ふふ、それほどあれは危険じゃないよ。それにしても和巳の札は効果覿面だったね、虚街うつろまちへ行った甲斐があったよ」

「今朝やけに早く起きてたのはあそこに行ってたからなんですね……。ていうか何を以って危険じゃないと?」

「あの入れ物をよく見てなさい」

「えっ?」

 あたしは二人の会話を聞きながら吸い込まれていく黒いモヤを見つめていた。あたしは目を見張った。だって、吸い込まれていく黒いモヤの中に苦しそうなあたしの顔を見えたから。


閲覧ありがとうございました。

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