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私は別に  作者: メイリ
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第六話

 で、我が友人達なのですが……ここで冷静に考えて悪しき者が大人しいのがおかしいと思いませんか?

 はい、何故なら我が友人達がやらかしていたから。

 あの人達、私とフローラさんに注目が集まっている間に


 ㊀ 悪しき者を三重の結界でガッチガチに固める。


 ㊁ 自分達は姿を現さず、魔法でフルボッコ。


 ㊂ 反抗する気をこれでもかとなくし、自分達の言うことを素直に聞かせる。


 という状態に持っていってた。

 なんか悪しき者が泣いているんだけど……。

 正直友人達が姿を見せないから、友人達が見えない人にはどうして悪しき者が泣いているのかわからないと思う。

 反対に友人達が見えている人にとってはある意味悪夢。

 もう、魔術師の皆さんが目を見開いて、無意識に口を開けっ放しにしているよ。


 さて、ひとまず目当ての悪しき者は無力化されているからこっちの対応をしましょうか?

 んで、誰が化け物を召喚したって?

 正直フローラさんとは話が通じないから王に聞いてみようか。


「ねえ、私は何の為に悪しき者を召喚しなきゃいけないの? だいたいこの国に来たのは頼まれたからで、自分の意思ではないんだけど。一応、父と王の契約だから私には拒否は出来ないけどね」


 王に向かってそう言ってみた。

 王は気力と根性で気を失わず、私の質問に力一杯頷いている。

 いや、うんうんって頷かれても……。

 そんな中、この雰囲気でもやっぱりフローラさんはフローラさんのようで。


「これ以上陛下に失礼なこと言わないでちょうだい! 王家に向けてのその行動、あなたの国はこの国に宣戦布告でもするつもり? 」


 あまりの発言につい言葉が出てしまった。


「え? 宣戦布告してもいいの? 」


 私の言葉に今度こそ王がひっくり返った。

 宰相は青ざめながら、王を揺すっている……あ、途中からビンタになっているよ。

 視界の端に見える友人達はひっくり返ったり、床を叩いたりしながら大爆笑だ。

 なに、このカオスな状態。


 本当に帰ろうかな?

 だってもう悪しき者も捕まえちゃったし、ここにいる理由がない。

 とりあえず、完了報告をしてからじゃないと後で父に怒られるかも。

 王と王妃はひっくり返っているから……私はふと目が合ったリュークさんへ近づいた。


「ねえ、リュークさん、もう帰っても良いかな? 」


 リュークさんにそう聞くと全力で首を横へ振られた。


「お、お、お待ち下さい。ま、まだ御礼も出来ていませんし、その……フローラ嬢のことについても誤解が解けておりませんから……」


 リュークさんがそう言って私を引き止めようとしているところへ、本当に変な方向へ期待を裏切らないフローラさんがまた……そう、また、口出ししてきた。


「いい加減にしなさいよ! そうやってリューク様にも失礼なことを……」


「じゃあ、フローラさんの言葉は私に対して失礼にならないの? 」


 疑問に思っていることを聞いてみた。

 だって、さっきから失礼なことを言われているのって私だよね?

 むしろ失礼なことしか言われていないような気がする。

 だけど私の質問にフローラさんはまた予想を下回る答えを返してきた。


「何故私の言葉が失礼になるのかしら? 事実を言っただけですわ」


 ところで、これだけ私にやっちゃっているフローラさんを誰も止められないのを不思議に思いませんか?

 ……はい、それは友人達と勝手についてきた子達が止めに入ろうとしている魔術師さん達を押さえ込んでいるから。

 そして、何でそんなことをしているかと言えば、理由は一つ。

 面白いから。

 いや、多分最初は怒っていたんだと思うよ。

 だけどあまりにも突き抜けているフローラさんを見ていて楽しくなっちゃったんだね。

 まあ、気持ちはわからなくはないよ。

 家に帰ってもこんなイベントなんてないもんね。


 んで、楽しんでいる友人達とその他のみんなの希望は、多分フローラさんに私の事や友人達のことを伝える事だと思う。

 それを見て楽しむんだからタチが悪い。

 でも、それが友人達だし、喧嘩を売ってきたのはフローラさんだからね。

 しょうがないからこの茶番に付き合いますか。


「ねえ、フローラさん。フローラさんはさっきから王やリュークさんに失礼だって言っているけど、自分の方が失礼だって気づいてないの? だって、王命には逆らい、リュークさんの言葉の意味も理解せず私に詰め寄ってくる。もうそろそろ周りを見てみたら良いんじゃないかな? 」


 フローラさんは私の言葉に怒ったようで顔が赤くなっている。

 だけど、やっと周囲を見回すことが出来たようだ。

 ちなみに今の状態は、悪しき者は未だ泣き止まず、王妃は気絶、王は宰相の気合のビンタで何とか意識を回復、警備を務める魔術師達は半分は未だ魂抜けちゃってて、もう半分は土下座している。

 その後ろ、大分離れたところからパーティーに集まっていた人達がこちらを見ている。


「こ、これは……」


 やっと現状を理解したらしい。



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