カーネーション
「アンタ……誰…?」
「えっ…」
こうゆう時、よく漫画とかドラマとかでは、始めは理解出来なかった……頭がフリーズした……とか言うけど。
そんな事、まったくなく。私の中で一番に湧き上がったものは
ぁあ、とうとう来たんだ……だった。
最初に予想したじゃないか。いつかはこうなることを。わかってたことじゃない。
なのに。
「あ、れ……何で、泣いてんだろ……っ?」
ポタポタと地面に滴る涙たち。一瞬で地面に吸い込まれ、生える草花たちの栄養となっていく涙たち。
けど。
「か、えろ。七緒……私達の家へ、帰ろ…っう」
「……?」
溢れだす涙はとめどなく。私に腕を引かれる七緒の足取りはおぼつかず、家路についた。
家に着き、玄関で彼へ靴を脱ぐよう伝える。最初、何だか分からないような表情をされたが、しばらくすると脱ぎだす。
彼の右手をよく見れば何かを握り締めている。……びっくりした。全て以前のようになったのか、と錯覚を起こした。思わず彼の顔を見上げる。
だがそんなものはむなしく砕け散り、彼の感情もなにもない表情が胸の中にいつまでも残った。
「な……んで!! どうし、……って!! 白のカーネーションなんて…、もってんの、よ……っ!!」
彼に抱きついてすすり泣いても、あの暖かな大きい手は私を抱き返してはくれなかった。