プロローグ
処女作ですので、大変お見苦しいかもしれませんがなにかご感想や誤字脱字、文法のおかしな所がございました教えていただけると助かります。
それではどうぞ。
「おいおい、嘘だろ……」
真っ白で空虚な何もない空間の中、俺の言葉だけがあたりに反響した。
仕事が終わり、一人暮らしの俺は息抜きの為に新作のエロゲーを手に家へと帰り、おにぎりと惣菜を胃に詰込みながらゲームをして、盛り上がってきた所での自家発電の最中、気付けばここに立っていた。
「どういう事だよ……夢か……?」
夢にしては、意識がやけにはっきりとしていた。
そしてなにより、これが夢ではないという漠然とした感覚が脳内を占めていた。
『えぇ、その通り。これは夢ではありません』
「だ、だれだ!」
急に聞こえたその声に、驚きつつも振り替える。
しかし。
「だ、だれもいない?」
『いいえ、いますよ。姿を表すことはできませんが』
「っ!?」
思わず後ろに身を引いてしまう。
『話がこじれても面倒なので手短に説明します。まずここは夢ではありません。そして貴方の居た地球ではありません。ここは世界と世界の間に存在する隙間、まぁ、異次元とでも呼びましょうか、そこにあなたは今います。そしてここにあなたを呼んだのが私です。あなた達でいう神様でしょうか。私は今あなたの脳内に直接声を届けていて、死んだ貴方の魂を無理やりこちら側へ引っ張らせていただいてます』
ちょっと待て。
「し、死んだ?」
『えぇ、死にました。日本時間にして一時三十七分二十二秒、テクノブレ○クによって』
「ちょっと待てぇ!」
『はい?』
「いや、え? ごめん、死因もっかい言ってもらっても……」
『はい、テクノブレ○クによって』
「はぁあああああああ!?」
『どうかしましたか?』
どうしたもこうしたも!
「いや、だって一回だよ!? 一回しかバーストしてないよ!? それで俺テクノブレ○クしたの!?」
『えぇ。一応納得させる為に映像見ることもできますけど、見ます?』
「やだよ! 何が悲しくてナニ握ったまま息絶えてる俺を見なきゃいけないんだよ!」
『いえ、他にも白目向きながら涎垂らしてますし目の前のパソコンの画面の中で女性が緑色をした醜い生物にずっとイタされてますよ』
「最悪だ! 人に見せられん!」
『このまま肉体が朽ちていくのも呼び出した者として忍びないので明日には貴方の母親が来るように運命を少しいじっておきました』
「世界一余計なお節介!」
母さんなんて数年前から会ってないんだぞ!?
久々に見る息子が白目向きながらよだれ垂らしてR18な光景を目の前にナニを握って息絶えてるなんてそんな光景見たら母さん俺の後追うわ!
「頼む、頼むから今すぐ俺を蘇らせてくれ」
せめて、仮に死ぬとしてもそんな姿で息絶えるのはゴメンだ。
『……申し訳ないですが、こうして貴方の魂に干渉することは出来てもあちらにある肉体などへの干渉権はこちらには無いのです。ですので蘇らせることなどは不可能です』
「そんな」
『ですが』
と、不満を露わにする俺の声に被せるようにしてその声は凛と響いた。
『貴方にまつわる運命を全て捻じ曲げました。ですので少なくとも三ヶ月は少なくとも貴方の家に人が来ることはないでしょう。これで如何ですか?』
「……まぁ、それなら」
それ程あればこの蒸し暑い季節、俺の身体くらいなら腐敗するだろうし窓も夜だけ冷え込むから締めてたはずだ。ゲームについて? はは、しらん。
はぁ。
そんなほぼやっつけな言葉で自分自身を納得させ息を吐く。
『納得して頂いてありがとうございます。それでは、本題に入らせてもらいます』
「本題……ですか」
確かに、それもそうか。なんの理由もなしに神様という存在が俺に干渉してくるなんてありえない。
「えっと、なんかしちゃったんですかね俺。やばいことしすぎて地獄行きとか、そういうことなんですか?」
『いえいえ。そう言うことではないんですが。そうですね、単刀直入に言わせていただきましょう。―――貴方、蘇りたくないですか?』
その言葉に、数十秒思考がフリーズを起こす。
「………はい?」
『いえ、ですから甦りたくはないですか?』
「いや、出来るなら一にもニにもなく頷きたいですけどそれは出来ないんですよね?」
どうにも話が噛み合わない。なんだろう、おちょくられてるのか?
『えぇそうですね。ですがそれは、あなたがいた世界に限っての話です』
「……まさか別の世界、それも魔法やドラゴンもいる様な中世のヨーロッパぐらいの文明世界なんて言わないですよね?」
思わず、最近古本屋で立ち読みした本の内容が脳内再生された。
『えぇ、その通りです。よくお分かりですね?』
なんて。そんな冗談半分の問いかけにその声は今までになかった驚きの声色を混ぜあわせつつそう答えた。
「……まじかー」
なんだろう、ここに来て急に脱力してきた。なんだこの、よくよく考えてみればテンプレな一連の流れ。あ、テクノブレ○クてめーはダメだ。
『えぇ、勿論誰でも呼ばせて頂いてるわけではありません。資質を持ちつつ、犯罪性の弱い人をここに呼ばせて頂いてます。資質を持つ方は大体1000人に1人程なので、割とすごいんですよ? それと勝手ながら犯罪性の強い魂を持っているかいないかは勝手に調べさせて頂いてますのでそちらも検証済みです』
「あ、はい。そうですか。というよりその、資質ってのを持ってたら自分を守ることぐらいはできますか?」
はっきり言って、もし行くとしてもの仮定で話を進めるためにはとても大事なことだ。
痛いのは嫌だ。生まれ変わるんだったらしっかり生き抜きたい。それに中世ほどだから生活するのも一苦労なはずだ。わざわざ好き好んでそんな環境に身を投じたいとは思えない。
『勿論自分でその資質を伸ばせば、自分の防衛手段を身につけることは可能ですが、資質は資質です。本人が伸ばさねばほぼあちらの世界の住人と変わりはないでしょう』
「あー……俺が断ったりしたら正直困ります?」
なんかそれなら面倒くさいなー。よく居る転生主人公みたいに前世に後悔してるわけじゃないし、そんなに体を鍛えたりすること得意じゃないし。キントレだってなんだって基本三日坊主の俺には無理だしなぁ。
魔法にはたしかに興味あるけど、わざわざ生活環境落としてまでやりたいかって言うと、微妙だなぁ。
『いいえ、早く決まるに越したことは無いんですが本人の意志が尊重されますのでお気になさらず』
「あー、そうですか」
『はい。それにしても、こう言っては申し訳ないんですが断られるとは思いませんでした。一応魂を呼ばせていただく条件に資質、犯罪性の強さそして本人の異世界に対する思いを条件にかけて呼ばせて頂いてるんです。勿論資質を持った方は例外なく来て頂いてますが』
どうやら、今までの少し固い口調は文字通りビジネストーク用だったようで姿は見えないが今まで凛々しかった表情が柔らかいものに変わったような錯覚を覚える。
「あー。まぁ、確かに異世界に願望は、あるのかなぁ?」
『そうなんですか?』
「えぇ、なんと言うか恥ずかしいんですか異世界モノのエロg――物語には結構多いんですが姫騎士という職業がありまして」
『あぁ、そういえばこちらの世界にもそんなものがありましたね』
「行きます」
『………え?』
「異世界、行きます」
『えっ』
◆
そこからの話はとんとん拍子だった。
……いや、そんな目で見るなよ。いいだろ夢の1つや2つ。
悪いか! 好きなんだよ! 姫騎士が! お前涙目で罵られたくないのか!(錯乱
いやー、いいっすね異世界。なぁんだ、姫騎士いるなら言ってくれよマジで。即効で頷いたのに。
話を聞いたところだいたい俺の脳内の中にいる姫騎士さんと特徴は一緒だった。
国の騎士を束ねる職業であり、すべての騎士の憧れである姫騎士。その心は強く、気品のある佇まいと高貴さのあるオーラを身に纏っている。と。
完全に大好物です本当にどうもありがとうございました。
さて、じゃあ話をしよう。
どうやってこの姫騎士たちに、くっ殺といわせるか、を。
くっ殺。それは姫騎士の代名詞。気の強い代表である姫騎士はどれだけ不利な状況であっても強がりながら、その汚されるか汚されないかの瀬戸際に立った時、自身の気高さを守るために自分の命を投げ打ちいうのだ。
「くっ……殺せ!」
と。
そしてそれを踏みにじりスタッフが美味しく頂くのがエロg――物語の醍醐味よ!(ゲス顔
あぁ、楽しみだ。何? 生活環境のダウングレード? 保証のない命? 知るか! 目の前に姫騎士がいるんだぞ!
うひょひょひょ、待ってろよ姫騎士! お前らの貞操は俺のもんだ!
◆
「ふぅ」
私は仕事が終わった後、紅茶に一口をつけ息を吐きだした。
書類の束に埋もれて仕事をしている中、こういった“らしい"仕事をするのは大変精神的に疲れる。
それにしてもやけに姫騎士にこだわる人間だった。姫騎士の話題が出てからというものひっきりなしにその単語が人間の口から出て相槌を打つことさえ大変だった。
まぁ無事に交渉は済んだのだ。しかし一発目で頷いてくれたのも何かの縁。一つサービスをしておきましょうか。
そう思って、今回の為の魂呼び出しシステムを覗き込み―――。
「……あら、犯罪性が真っ黒? おかしいですね。先程までは真っ白だったのに……」
多分、故障だろう。このシステムも神器とはいえ急造したもの、多少手違いがあったとしても仕方ない。
そう思いつつ、そのシステムを一度落とす。
そして。
「二度目の人生、後悔のなきよう」
小さく呟いた。
まだ頭大丈夫です。
ありがとうございました。