プロローグ
―ねぇ、知ってる?
―何を?
―旧校舎の幽霊
―幽霊?
―うん
―アンタ、まだ幽霊なんか信じてるの?
―本当なんだってば!
―あー、はいはい。
―昔、旧校舎が新品の時に火事があったんだって
―それでね?放課後残ってた生徒が、死んじゃったんだってさ
―うわ、可哀想
―夜に旧校舎に行くと女の子が現れて……
『助けて、熱いよ、熱いよ』
―って言うの
―こわっ!
―女の子に気に入られたら、二度と帰って来れなくなるみたい
―てゆうか、ここ旧校舎なんだけど勘弁してよ
―えへへ、ごめんごめん
―まったく……
『……つ、いよ』
―え?
―へ?
『あついよぉぉぉぉぉぉぉぉ!』
―ひっ
―逃げるよ!
『助けて、一人はやだよぉぉぉぉぉぉ!』
―いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!
―きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!
そして、二人は行方不明になった。
旧校舎で、何人もの生徒が行方をくらましている。
流石におかしいと思った学校側は、対処を取った。
「以上が、報告にある内容よ」
物置として使われている教室に、二人の男女が適当に置かれている椅子に座って話している。
制服を着ているところを見ると、この学校の生徒のようだ。
男子生徒の方は、銀髪の長い髪を後ろに束ね、Yシャツを全開にしている。
女子生徒の方は、肩甲骨まで伸びたウエーブの薄い茶髪にしっかりと制服を着ていて、不良と優等生を連想させる。
他人から見れば、おかしな組み合わせだが二人には共通点があった。
【精霊】というこの世のものではない者を使い、一般人では解決の出来ない事件を解決しているのだ。
基本的に【陰陽師】と呼ばれる人間と【巫女】と呼ばれる人間が二人で行動することとなっており、二人はお互いの力で協力して事件を捜査していた。
一般人に解決出来ない事件は、もう分かっているだろう。
そう、この世の者ではない【悪霊】と呼ばれている者を【陰陽師】として認められた人間が自分の能力を使って祓っている。
【陰陽師】に足りないものを補うのが【巫女】の役目だ。
平安時代と比べると、少なくなって来ているが【悪霊】による被害が無くならない限り【陰陽師】達は途絶えることが無いだろう。
「で、気配は探れたか?」
「あっちも賢くて、なかなか」