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俺の人生8

俺達は中2になり夏休みを迎えた。慶太郎は終業式も終わっていない確か七夕辺りから金髪メッシュを入れており俺達は夏休みに入ってからそれぞれ市販で購入したカラーで髪色を変えた。もちろん校則違反である為慶太郎は担任に黒く染め直してこいと言われていたが完全に無視していた。俺達もそこそこの茶髪ではあったがわかりにくい程度だったので髪色に関しては何も言われる事はなかった。金を持て余している慶太郎は高い美容院に通っているだけあり髪型事態がオシャレで派手な感じだ。メッシュもプロにやって貰っている分綺麗に入っていて学校ではかなり目立ち先輩と喧嘩にもなっていたがあっさり勝利し俺達の学校で慶太郎に喧嘩を売るバカはいない。あいつは俺が習ったボクシングだけではなく空手も習得しておりそこに頭脳を使った喧嘩をやるからな。俺達が勝てるはずもないわけだ。慶太郎は名門私立からの転校生だったらしく成績は学年トップであり先生も慶太郎にはあまりしつこく注意する事はなかったぐらい慶太郎の成績に問題はなかった。俺達には何かとうざいぐらい説教をしてくるんだけどな。俺には名門だと言われてもどこか知らねーけど確かに慶太郎は勉強が出来る。それだけあいつが努力したんだろう。でもお前はいつ勉強しているんだ?と俺は不思議でならない。それがあいつの努力なんだろうな。俺達との遊びにも飲みにもしっかり付き合いながら勉強までもしている。お前の努力には勝てねーよ。学年トップの慶太郎にはいい高校に入学してほしいと言う先生達の薄汚い希望もちらほら見えた。うちの学校から名門高校に入学する生徒が入ればお前らの鼻が高くなるのか?と思うぐらい慶太郎には気を使っているような気すら感じた。


『慶太郎!今日卒業した先輩達がバイクに乗せて走ってくれるらしいから行かねーか?恭一と誠は来るぞ。雄一郎と謙也はデートだからパスらしいけど。ユズルは波乗り行くって』


お前は今日ユズルと波乗り行かねーのか?昨日行ってたもんな。ユズルは先輩に紹介されたサーファーがいてほぼ毎日海へ通うぐらい海バカになり慶太郎もけっこう一緒に行っている事が増えた。


『あー俺もパス。夏休みになったしもう1人の親父の所にちょっと帰ってくるわ』


バイクか。俺はもう乗らねーよ。一生な。


『了解した!まあ夜中には帰ってるからお前も気が向いたら家に寄れよ』


なんだ?慶太郎の表情が一瞬変わった気がした。


『あーわかった。大輔!気をつけろよ!』


『はあ?お前からそんな言葉を聞くとは意外だな』


お前何急にマジになってんだよ?わかんねーよ。わかんねーけど不安のようなもんが伝わってくるじゃねーか。


『心配してやってんだよ!俺ら思春期に持て遊ばれてるからな』


『あーわかった』


慶太郎!お前さー時々ぼうっとした顔が哀しくて苦しいって表情してるって気づいているか?お前に何があったか知らねーしお前が語らない限り俺も根掘り聞く気はねーけどお前はいったい何を背負ってるんだよ?俺はお前を守っていける男にどうやったらなれんだろう。俺が憧れた人とはかけ離れた俺の生き方でお前を守れる自信が今の俺にはない。あの人なら結城壮一郎さんなら慶太郎を救ってくれるんじゃないかっていつも思うよ。まだお前と出逢って数カ月なのになぜだか昔から知ってるような感覚になるのはなんでなんだ?そして俺はその日バイクを乗り回し先輩と共にパクられてしまった。今まで散々危険を犯してきた俺が13歳で初めて警察に捕まった。まあ今まで捕まらなかっただけ奇跡だな。運もつきたか。


『雄一郎!大輔達がパクられたってマジか?』


大輔はまだ警察にパクられた事はないって言ってたしあいつはまだ誕生日が来ていないからまだ13歳だ。ケツに乗ってただけならたいした処分は受けないだろうと思うけど。


『あぁ。無免の先輩のケツに乗ってて恭一と誠はうまく先輩と逃げたらしいらしいけど大輔と他の先輩達はパクられたみたいだ。つうか慶太郎!お前はなんでいきなり頭丸めてんだよ』


『ちょっとな。親父にやられた。大輔は児相か?』


お仕置きされたんだよ。


『あーでも大輔は一時保護ぐらいだろ。すぐ戻ってくるんじゃねーか』


『大輔はおとなしくしてなきゃヤバイな』


大輔!俺はお前にもバイクなんかに乗ってほしくねーよ。俺と同じ過ちは犯してほしくない。


『慶太郎!波乗りいかねー?今日いい波みたいだ!』


慶太郎は海に入ってる時が1番いい顔してるぜ!でもお前はいったい何があった?でも俺も聞かねーよ!俺はお前と一緒に波乗りしてる時が1番楽しい!お前も俺も海が好きだもんな!


『あー。行こう。ユズル』


俺は中2の夏休みに入った頃先輩のバイクの後ろに乗りあえなく捕まった。まだ誕生日を迎えていない俺は13歳であり運転していたわけでもなかった為に児童相談所に一時保護と言う軽い処分で済んだ。二学期が始まり登校した俺は久しぶりに仲間の顔を見たがただ1人慶太郎だけがいなかった。誰に聞いても慶太郎の行方はわからないまま10日程してようやく慶太郎が俺の家に姿を見せた。


『慶太郎!お前何してたんだよ!どうかしたか?』


どうしたんだよ?お前痩せたな。


『おかえり!大輔!ちょっと旅に出てただけだよ。とりあえずビールある?俺買ってこようか?』


意味なく1人登山やってたんだよ。やっぱキツイわ。山は厳しい。


『いやあるからいいよ!入れよ。ところでなんでお前は坊主なんだよ?』


サーフィンで日焼けしてる分まるで野球少年じゃねーか。似合ってるけど。ベビーフェイスなだけにちょっと幼く見えるな。


『もう1人の親父に最後のお仕置きをされたからだ。髪の色が校則違反だろってな。これでも随分伸びたほうだぞ。マジありえねーぐらい尻叩かれて高校球児なみに丸められたからな。俺はあの親父だけには逆らえないんだ。唯一俺に愛情を与えてくれた人だからな』


坊主じゃ嫌だからせめて金髪坊主にしようと思っていたけど虚しいからやめた。先生達も手間が省けて喜んでじゃねーのか。


『そうか。なんで最後なんだよ?』


『死んだんだ。夏の終わりと共に一緒に消えちまった。もっと会いに行ってりゃ良かった。いつでも会えて当たり前だと思ってた俺がバカだった。迷惑と心配しかかけてない。大輔!飲もう!お前が戻ってきたお祝いだ』


大輔!俺泣いてねーんだ。葬式終わって壮ちゃんと登った山にも行って登山はしんどくて壮ちゃんが頑張れって言ってくれないって気づいて俺は1人なんだって思い知らされたのに泣けねーんだ。なんでなんだよ!


『あぁー。酔いつぶれるまで飲もうぜ』


慶太郎!お前は大丈夫なのか?そのもう1人の親父だけがお前の心の支えだったんじゃねーの?それを失ったお前はこれから生きて行けるのか?お前しばらく見ないうちに随分痩せたぞ。元々細いわりには筋肉をつけていたけど筋トレもせずそれに食わずにいたんじゃねーのか?そんなんじゃ喧嘩してもお前やられるぞ。またもういつでもやられてもいいってぐらい無防備な感じじゃねーか。俺はお前に何が出来るんだ?結城壮一郎さん!俺は大切な親友をどう守ればいいんすか?慶太郎は浴びる程酒を飲み深い眠りに落ちた。俺も慶太郎に付き合いかなり飲んだがなぜか今日はいくら飲んでも酔えなかった。俺も慶太郎も所詮まだ中2。俺達はまだまだ弱いんだろうな慶太郎。一緒に強くなろうぜ。

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