俺の人生5
4月になり俺と雄輔は新しい学校に通う事になった。お父さんと言う人は今までの男に比べればまだまともだ。家だってしょぼいけど一応持ち家らしい。だから俺と雄輔は初めて自分の部屋を持てたし。だけど勉強をしろとうるさいのがウザイんだけどな。今さら勉強してわかるわけねーだろ。まともに学校なんか通ってきてないんだからな。そして俺は学校生活にも慣れてきて友達も出来た。
『大輔!今日遊ぼうぜ!』
『あーいいよ。恭一ん家に俺が行くよ!』
『いや今日はゲーセン行こう!ユズルも行くって言ってたからコンビニの前に集合な!』
『あっそ。わかった』
あー俺まともな小学校生活を送ってるな。こんなにも食う事を心配しなくてもいいなんてことがラクだなんてこれが幸せってやつか?雄輔も友達が出来たようだしいじめられてる気配もねーから俺の出番はねーな。ただまだおねしょが治らねーのは問題だ。これはあいつの傷だよな。許せ雄輔。あの時はあーするしかなかったんだ。俺がまだ5歳で雄輔は3歳だった。俺達の本当の父ちゃんは毎日酒を浴びる程飲み酔っ払っては家の中で暴れまわる奴だった。俺達は暴れ疲れて眠る父親を部屋の隅で怯えながら隠れてただ待つしかなかった。母ちゃんは夜働いていたから夜中に帰ってきて暴れ回る父ちゃんを止めてくれる大人は1人もおらず俺は物が飛び交う中雄輔を守るのに怯えながらも必死だった。その日も俺達がとっくに眠りについた頃に酔っ払って帰ってきた父ちゃんは眠っている俺達を叩き起こし酒の準備をさせた。俺は早く寝てくれと思いながら酒をついで父ちゃんが暴れないよう怒りに触れてはならないと細心の注意を払っていたが父ちゃんがキレる理由にはたいして意味など必要はなく母ちゃんがいないって事だけで怒り始めた。夜は働きに行っていない事を知っているはずなのに酔っ払いにはそんなまともな事を言っても通じない。俺が何度も母ちゃんは仕事だよって連呼していたが父ちゃんはコップを投げつけ火がついたかのようにまたいつものように暴れ始めた。眠たいところを無理やり起こされた雄輔は座りながら眠ってしまっていたけどコップが割れる音と父ちゃんの大きな罵声に目覚めて泣き出した。俺は泣く雄輔を部屋の隅に連れて行き雄輔をかばいながらいつものように怒りがおさまり暴れ疲れて眠る父ちゃんを膝を抱えながら待っていたんだ。だんだんと勢いがなくなってきて静かになっていく父ちゃんと同時に雄輔は膝を抱えたまま眠っていた。父ちゃんは何か独り言のような事を言いながらもついに眠ってしまったようだったから俺は恐る恐る静かに父ちゃんに近づき眠りについた父ちゃんに毛布をかけて雄輔を布団で眠らせようとした時に父ちゃんが吸いかけのまま眠ったタバコが目についた。火を消そうとタバコを持ったら火種の着いた灰が毛布に落ちてしまった。俺は怒られると思い知らないふりをして雄輔を布団で寝るよう起こした。その時は毛布が焦げる程度だと思っていたんだ。だって父ちゃんの作業ズボンはよくタバコの灰で穴があいていたからな。それなのにだんだんと煙が増してきて火が目に入り俺は慌ててまた雄輔を起こし外に出た。その時に父ちゃんも起こせば良かったのに何故か俺は起こさなかった。もしかして死ぬかも知れないと言うのをなんとなくはわかっていたのに俺は父ちゃんを無視して雄輔と2人外に出たんだ。俺達が外に逃げてすぐあっという間に火の勢いは増し父ちゃんは目覚める事なく火事になった家の中で焼け死んでしまった。俺が見殺しにしたんだ。火事は酔っ払ってタバコの不始末であると言う事になった。俺があの時父ちゃんを起こさなかったのはどこかで死んでくれた方がいいと思っていたからだろう。母ちゃんは俺になんであんた達が逃げる時に一緒に起こさなかったのか?と問いつめ答えない俺にあんたは見殺しにしたんだねと言い放った。母ちゃん!俺もそう思うよ。俺はあの時こんな父ちゃん死んでもいいと言う気持ちがどこかにあったに違いないからな。俺が父ちゃんを殺したのも同然だ。火事を目の前で見て父ちゃんが死んでしまってから雄輔は時々おねしょをするようになった。ごめんな雄輔!お前の傷を作ったのは俺だ。
『大輔!大輔?おい!大輔って!どうしたんだよ?行こうぜ!』
『あー。わりー。ユズルは来たのか?』
『いや先行っといてってさ!誠と一緒に来るってよ!』
『あっそう。じゃあ行くか。あっ!わりー!おい!落ちたぞ!金!』
『いらねーよ』
『なんだ!あいつ!てゆうか一万じゃん!大輔とぶつかって財布から落ちたんだ!普通いるだろ!いらねーってあいつ頭おかしいな!でもラッキーか!これでみんなで遊ぼうぜ!大輔!おい!大輔!』
『お前の金だろ!ぶつかって悪かったよ!ほら!ちゃんとしまっとけよ!』
いらねーなんて金額じゃねーぞ。
『俺に触るな!いらねーって言ってんだろ。もう財布しまったんだよ。めんどくせーんだ。ヤバイ!電車に遅れる。じゃあな!適当に捨てとけ』
『おい!マジふざけやがって!これだから金持ちのボンボンはムカつくんだよ!恭一!あんな奴うちの学校にいるのか?』
やっぱ坊っちゃんは悩みもくだらねーんだろうな。金のありがたみが全然わかってねーじゃねーか。まあ食う事に困った事がない坊っちゃんにはわからねーんだろうな。
『いやいねーよ!うちの小学校では見た事ねーな。どっかの私立行ってんじゃねーの?それか隣の小学校かもな?この辺微妙な範囲らしいし。中学になったら2つの小学校が一つの中学に集まるんだ。俺らが通う中学だよ。そこでまた会うかも知れねーぞ。でもボンボンだったら私立行くんだろうな』
『そうか。あいつ電車に遅れるって言ってたよな。塾に通う坊っちゃんか?まあいいや。いらねーって言うんだから恭一!俺らで使おうぜ!』
『おう!行こうぜ!ユズル達マジびっくりするだろうな!だって一万だぞ!』
結城壮一郎さん!元気?俺は元気でやってるよ。新しい学校にも慣れて友達も出来た。あなたは言ってたでしょ。友達を作りなさいって。だから俺は友達を大切にするよ。神の計らいはいつあるんだろうな。顔を忘れないうちに会えたらいいよな!