表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Jailbreak Online  作者: BURN
57階 BOSS
2/10

57階 BOSS戦 〈2〉

巻き上がる粉塵に前方を眩まされながら敵の様子を確認する。

次第に砂は地面へと落ち、 視界が明瞭になっていく。

その中で一瞬の光の輝きが見えた。


刹那――騎士がその大剣を振り下ろしながらケインを両断せんと迫る。

「アアアアァァア!!」


咆哮と共に大剣がケインを2つに裂いた――

「??」

と思われた。

その大剣は地面に亀裂を与えていた。 しかしケインの姿は視認できなかった。

剣を地面から抜き、 辺りを見回す。


――やばかった……


あの時見えた光の輝きは剣の反射だと気が付いた瞬間に右に飛び退いた。

移動した瞬間――まさに一秒とない時間の中であの騎士はケインの居た位置に大剣を叩きつけていた。

さらに部屋の壁を沿うように慎重に移動する。

敵はまだケインの姿に気がついていない。

ならばその隙を突くまでだ。

敵の背後。 スキルを発動する。


――Burn Heart――


地面を蹴りつけ跳躍する。

1秒、 2秒の時間の経過。 しかしケインの足が地面に着くことはない。


スキルの効果、 それは純粋ながら強力な空中への上昇。

上昇する高さは放物線を描くように時間が経てば立つほど大きくなる。

1秒で1m 2秒で4m 3秒で9mほど上昇できる。

ケインは2秒経った時にスキルを停止させた。

上昇は終わり、 地面への自由落下が始まる。


下から上へと吹き抜ける風を感じながらケインはさらにスキルを発動させる。


――Wormed――


両の掌に現れる無数の小型爆弾。

それを絨毯爆撃のように騎士へと叩きつけた。

騎士は背後での一発目の爆発を感じ、 背後を振り向く。

上空には無数の爆弾がさながら霰のように落下している。


――なんだ?


投げつけた先を見ながらケインは疑問に囚われた。

騎士がこの戦いで初めて構えを取ったのである。

腕を上げ、 上段の構えを取っている。

しかし――遅い!!

絶対的な勝利の確信。 あともう0,1秒も絶たないうちに残りすべての爆弾が敵を襲うだろう。

瞬きすら許されないほどの時の中で騎士は

――剣を振るった。


風が吹き荒れる。 投げつけたはずの爆弾は大地を踏むこと無く虚空を舞い、 自身の体を四散させていく。

ケインの顔に苦悶の表情が浮かぶ。


地面へと降り立ったケインは敵に見据えられていることを無視し、 後ろへと下がった。

視界に現れるMP【マジックポイント】を確認する。

〈1250/2300〉


――予想以上だな。


今までの階に比べて敵の動きが俊敏かつ正確になっている。

MP消費量に対し、 あまり著しいダメージは与えられていないだろう。

もしかするとダメージは全くと言っていいほど与えられていないのだろうか、 という疑問。 一瞬の気の迷いが命取りのボス戦。


気にするのは無駄だ、 と己を一喝する。


――Pursuit――


MP消費が20という比較的扱いやすいスキル。

効果は追尾であり、 敵を捉えるまで離さない。

それをケインは右手に3つ具現化する。


放たれたPursuitは騎士へと向かう。

初撃を受け、 騎士が後退する。

2撃目、 3撃目とさらなる追撃によって騎士は壁際まで退いた。


騎士の動きが止まった。

顔は俯き、 死んだように動かない。

――これは。

――セカンドシフト。 ボスには必ずと言っていいほど保有している能力。

HPが半分を下回るとそのステータスや能力が変化する。 その効果は強大で、 保有効果そのものが変わることもあれば、 ステータスが数ランク上がることもある。

こうなってしまった場合苦戦を強いられることは必至だ。


騎士の口元が震えだす。

紡ぎだされる言葉は無く、 震えるように動いている。

否――それは全てを終わらせるための前兆に過ぎなかった。

「ウオアアアアアアアァアァア!!」

咆哮。


同時に騎士の姿が消えた。


――どこだ?


辺りを見回す。

しかしその姿は見えない。 粉塵は再度巻き上がり、 視界そのものが悪くなっている。

辺りを一瞥し、 視線を正面に戻す。

そこには騎士が大剣を振りかぶり、 ケインの目の前に居た。


――いつのまに……


驚愕。 瞬時の出来事に体が動かない。

前進も後退もできないケインの脳天を、 騎士の大剣が捉えて……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ