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非情な天使(改稿編)  作者: ドラキュラ
復讐代行編
19/21

第八章:夜のダンス

教会の上である屋根。


満月が良い具合に昇っており、最高の夜と言っても過言ではない。


こんな時は男女が愛し合う物。


でも、私の場合は不粋な事に仕事中なのよね。


おまけに相手はプッツンした状態で手に負えない。


まぁ・・・そこまで追い詰めたのは半分、私に理由があるけどね。


で、その相手---大天使ラファエルは・・・・・・・・・・・・


「死になさい・・・死になさい・・・死になさい・・・死になさい・・・・・・・・」


死になさい、死になさい、死になさい、死になさい、死になさい、死になさい。


死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね。


死を・・・・彼奴に・・・・死を・・・・彼奴に・・・・死を・・・・・・・・


あの女に死を!!


「完全にイカレタ、わね」


私は十字架に背中を預けて、44オートマグピストル---.44AMP弾を避けている。


だけど、馬鹿みたいに貫通するのよね。


まぁ、44マグナム弾より威力は上だから当たり前だけど。


私の357マグナム弾より強力だが、銃本体は未熟品と言える。


そろそろジャムを起こしても良い筈・・・・・・・・・・・


「死になさい、この売女が!!」


ラファエルは十字架に隠れる私に撃ちながら近付いて来る。


既に弾は無い。


だが、撃てるのは彼女の気---聖気で撃っているからに他ならない。


「売女?それは貴方の事でしょ」


私は横に跳んでパイソンの引き金を立て続けに引いた。


357マグナム弾が連続で2発、発射されてラファエルの撃った44AMP弾に当たる。


双方の弾は空中で壊れて弾け飛ぶ。


しかし、私は引き金を引き続ける。


ラファエルに撃たせる隙を与えない。


冷静なんだけど・・・・やっぱり、何処かで怒っているのね。


自分の事なのに私は酷く冷めていた。


ラファエルは私を売女、と罵った。


でも、本当はラファエルが言われる言葉で、私に言われる筋合いは無い。


何故か?


彼以外に抱かれないからよ。


彼以外の男には指一本、触れさせない。


まぁ、自分で自分を慰める事はあるけど。


それ位は許してよね?


神は「産めよ、増やせよ」とか言っているけど、女の身から言わせれば男の欲望を受け止めるなんて御免被る。


もっともラファエルに到っては違うけど。


「貴方、飛天が構ってくれないから他の男に抱かれているんでしょ?」


「!?」


ラファエルの動きが停まる。


私の撃った357マグナム弾が肩を抉り、大量の血が月夜の屋根に飛び散る。


痛い筈だが、ラファエルは悲鳴も上げない。


身体も動かさない。


「私が知らないとでも思った?」


そんな彼女の様子を見て、私は嗜虐的な笑みを浮かべて言い続ける。


「貴方の淫乱振りは天界中の噂よ」


日に5人は男を変える。


しかも、容姿は黒髪に金眼。


身長は190cm以上が望ましいけど、そんな巨体は多くない。


だから、妥協して180前後なら良し。


ついでに言えば、耐久性も良ければ良し。


誰を連想するのか?


そんな下世話な質問は答えられないでしょうね。


いえ、皆は知っているのよ。


ラファエルは悪魔の男に惹かれている。


だが、相手にされないから似た容姿の天使を毎夜の如く相手にしている。


「で、デタラメよ!!」


ラファエルは飛び続ける血を止めようともせず、私の言葉を否定する。


「どうして?貴方が愛している男は飛天じゃないの?」


「そ、それは・・・・・・・・・」


「違うの?まぁ、良いけど。貴方が幾ら望んでも飛天は貴方を抱かないんだから」


抱いてくれるのは私だけ。


ベッドの上で彼の腕を枕に眠れる女は私だけ。


貴方には永遠に手に入れる事が出来ない夢でしかない。


「そんな事はさせないわ!!」


いきなりラファエルの気が強くなった。


煽り過ぎたかしら?


「彼は私の男。私“だけ”の愛しき男よ。誰にも渡さない!誰にも!誰にも!誰にもよ!!」


不味い・・・・・・・


ラファエルの気がドンドン強くなり出した。


このままだと私も本気を出すしかない。


でも、それをやると反動、と言えば良いかしら?


飛天にも影響が来る。


それは避けたい所だから・・・・・・・・・


「やるしかないわね」


力を抑えて戦うしかない。


不思議と恐怖は感じない。


厄介、とは思うけど。


でも、それだけで私にとっては面白い展開になり出した。


こんな事を考えるから破綻者とか言われるのよね。


まぁ、それは飛天も同じ事だから良いわ。


「死になさい!!」


ラファエルはAMTマグナムを捨てると、何処からともなく一振りの剣を取り出した。


黄金に輝く剣は・・・・・・・・・


「・・・“至高天の光”」


彼女が悪魔退治で名を馳せた時には必ず、あれがある。


至高天の光---別名を“悪魔斬り”と言う両刃の剣。


悪魔斬り、という別名は悪魔たちが名付けた。


自分達の同族を何百、何千、何万と斬り殺した剣。


そして、それを扱うラファエルの渾名は・・・・・・・・・・・


「・・・・・・・“至高の狩人”」


七つの大罪「色欲」を司る大悪魔アスモデウス。


アスモデウスは遠いエジプトまで逃げたが、ラファエルは追い掛けて至高天の光で彼を斬った。


彼の血はナイル河に流れて、エジプトを襲う災いの一つに数えられた経緯がある。


それ以外でも名のある悪魔を斬った剣、そしてそれを扱う天使。


この2つが合わさりラファエルは悪魔退治の名が広まっているの。


あれを出す時点で、もう完全にイッテいる。


ふふふふふ・・・・・・・・・・・


「そうこなっくちゃ」


このゾクゾクするスリル・・・・“濡れちゃう”わね。


「ガブリエル・・・彼は私の男よ。今、引けば見逃して上げるわ」


ラファエルは至高天の光を私に向けた。


「嫌よ。彼を渡す位なら殺して、私も自殺した方がマシよ」


これに嘘は無い。


「そう・・・・それなら死になさい」


「!?」


ラファエルが突然、姿を消した。


違う・・・・一瞬で動いたのよ。


「死になさい!!」


頭上に来る寒気・・・・・・・


辛うじて避けた私は間髪いれず357マグナム弾を、ラファエルにお見舞いした。


しかし、それは見事に真っ二つにされた。


「こんな物で、私を殺せると思うの?」


ラファエルは両手で至高天の光を握り締めながら、私を嘲笑ってきた。


「出来るわよ。天使だって完璧じゃないもの」


だから、あんな事をしたんだ。


もし、天使が完璧なら・・・・他人の人生を滅茶苦茶になどしない。


「だったら、貴方も完璧じゃないわね。何せ・・・これから死ぬんだから」


「その言葉、そのまま返すわ」


私は再びパイソンの銃口をラファエルに向けた。


「それなら死んで後悔しなさいっ」


ラファエルは左袈裟掛けに、剣を振り下ろした。


それを私は避けたが、両刃だから振り下ろしても、そのまま上げれば斬れる。


「くっ・・・・・・」


髪が数本ほど切られた。


ラファエルの攻撃は続く。


再び剣を振り下ろして、今度は突きを繰り出して来た。


刃を水平にした突きで、これも左右に避けた所で横に動かせば斬れる。


厄介な物よ。


避け切れず私はパイソンで剣先を防いだ。


「どうしたの?私を殺すんじゃなかったの?!」


連続攻撃の手を緩めずラファエルは私を追い詰める。


「えぇ、殺すわよ・・・・・・!!」


やられっ放しなのは私のプライドが許さない。


隙を見てラファエルの懐へ飛び込み・・・・右肩に撃った。


「ぐあぁぁぁぁ!!」


ラファエルは後ろへ飛ぶ形で、倒れ込んだ。


右肩から血が溢れているが、剣は手放していない。


それでこそ悪魔退治の異名を持つ天使ね。


でも・・・・・・・・・


「右肩をやられたから、終わりよね?」


後一発ある。


その一発で、ラファエルを仕留める。


私は撃鉄を起こして銃口を額に向けた。


「これで終わりね。じゃあね、ラファエル・・・・・・・・・・・」


グッ・・・・・・・・


引き金を引いた。


弾が飛び出して、ラファエルを撃ち抜く筈だった・・・・・・・・・


何故か、知らないけど私の腹から血が・・・・溢れ出ていた。


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