表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツヨイチカラ  作者: 桃馬 穂
序章 予兆の刻印

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/25

第0.1.7量子パルス:時を越える振動

 ≡ Quantum Pulse 0.1.7 / Vibration Across Time


「見たか、翔太君!」


 毒蝮博士の白衣が静電気のようにぱちりと揺れた。彼の手元には、例の「Φシフター」の端末があり、あたかも心臓の鼓動のような不規則な点滅を繰り返していた。


「この波形……常軌を逸している。少なくとも、わたしたちの世界のどんな既知の現象とも一致しない」


 博士は興奮気味に研究台を指で叩いた。モニターに映る波形は、まるで呼吸するようにゆらぎながら、じわじわと振幅を増していた。翔太は黙って、そばで見守っていた。


 正直なところ、何が起きているのか分からなかった。だが、博士の目の奥に宿る、あの光。まるで子どもが秘密の遊び場を見つけたような、純粋な輝きが、翔太の心を微かに動かしていた。


「“あちら側”と接続が始まったのかもしれん……」


 独り言のようにつぶやいた博士は、次の瞬間、急にこちらを振り返った。


「いいか翔太君、この装置は単なる観測器じゃない。境界を揺らす。“こちら”と“あちら”の振動を、共鳴させる可能性がある」


 装置の奥から、かすかに耳鳴りのような音が鳴っていた。それは機械音とも風のうねりともつかない、抽象的なざわめきだった。翔太にはそれが、目に見えない“どこか”から届いた声のように思えた。


 博士は、眼鏡の奥で何かを確信したかのように微笑んだ。


「君はまだ知らない。でも……この先、きっと分かるさ」


 その日、Φシフターは微かに“振動”を記録した。誰も気づかぬほど微細な揺れ――だが、それは確かに、境界の向こうから届いた小さなノックだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ