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シャンパンゴールドのため息、銀色の約束
エピローグ 冬の約束
さらに二週間後。東京の冬はまだ続いていた。海斗と結菜は、丸の内仲通りを歩いていた。シャンパンゴールドのイルミネーションは、相変わらず輝いている。しかし、その光はもう、冷たくも孤独にも感じられなかった。二人で一緒に見上げると、それはただの、冬の夜の美しい光だった。この光の中で、私たちは生きていく。でも、もうこの光に自分たちを見失ったりはしない。
結菜が海斗を見ると、彼は穏やかに微笑んでいた。それは、安らぎと、互いへの深い理解に満ちた微笑みだった。
物語は、愛の告白で終わるのではない。この静かな微笑み、そして交わされる視線で幕を閉じる。それは、人生の複雑さに、これから二人で立ち向かっていく準備ができたという、無言の合意だった。
彼らは、都会の「ゴールド」な生活を捨て去ったわけではない。銀山温泉の「シルバー」な価値観――本物であること、繋がること、バランスを取ること――を、その生活の中に持ち込む術を学んだのだ。
シャンパンゴールドのため息は、もう聞こえない。そこにあるのは、銀色に輝く、静かで、揺るぎない約束だけだった。




