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夏の輪郭

第十章 沈黙


台風が過ぎ去った後、空は嘘のように澄み渡り、空気には秋の気配が混じり始めていた。それは、紛れもない夏の終わりの合図だった。しかし、二人の間の嵐は、まだ過ぎ去ってはいなかった。連絡は、途絶えたままだった。


湊にとって、その沈黙は疲労と羞恥の産物だった。プロジェクトの失敗という無様な姿を、彼女に見せたくなかった。今の自分には、ストレス以外に与えられるものなど何もない。彼は自分の殻に閉じこもった。


碧にとって、その沈黙は拒絶の証だった。彼の世界において、自分は優先されるべき存在ではないのだと。フリーランスとしての自分の苦闘は、彼の巨大な企業の危機に比べれば、取るに足らないことなのだと。


夏の音は消えつつあった。蝉の声は止み、夜には鈴虫の音が響く。真夏の濃い緑は色褪せ始め、風景はどこか物悲しい、「栗皮色くりかわいろ」や「枯草色かれくさいろ」のような落ち着いた色調へと移り変わっていた 。世界は静かになり、その静けさが、二人の間の沈黙を一層際立たせた。


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