表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
春夏秋冬  作者: 久遠 睦


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/38

夏の輪郭

第二部 盛夏・熱と喧騒


第五章 過去の重さ


二人の距離が縮まるにつれ、会話は鎌倉の様々な風景の中へと広がっていった。寺の静かな庭、海を見下ろすベンチ。心地よい沈黙が自然に会話の間に挟まるようになった頃、彼らはより個人的な話を分かち合うようになっていた。


湊は、かつての恋人との会話を思い出していた。仕事ばかりで心ここにあらずの彼に、彼女は「私のこと、見てる?」と問い詰めた。仕事とプライベートのバランスを取ることの難しさは、彼にとって長年の課題だった。だからこそ今、彼は碧との関係に「癒し」を求めていた。三十代のパートナーシップとは、互いを支え、安らぎの場を築くことであるべきだ、と彼は語った 。


碧の脳裏には、安定したデザイン事務所を辞め、フリーランスになる決意をした日の興奮と恐怖が蘇っていた。その選択が、彼女の自立心を守る鎧であると同時に、現在の不安の源泉でもあった。友人たちの結婚報告や、親からの「子供はまだか」という無言の圧力。自分だけが人生のレールから外れてしまったような感覚に、時折襲われることを彼女は打ち明けた 。


二人の会話は、何かを解決するためではなかった。ただ、それぞれの人生の重荷を、言葉にして分かち合う。彼らは問題を解決するのではなく、ただその重さを共有した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ