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四月の雨音

第十章 すれ違い


二人の間に、見えない壁ができていた。


電話で話しても、互いの心はすれ違うばかりだった。瑞希は、プロジェクトの重圧と倫理的な葛藤に押しつぶされそうで、自分の本当の気持ちをうまく言葉にできなかった。海斗は、転勤の話を切り出すことが、始まったばかりの二人の関係に不当なプレッシャーを与えてしまうのではないかと恐れ、口を閉ざした。


沈黙は、誤解を育んだ。瑞希は、彼が離れていくのは、自分のキャリアが重荷になったからではないかと不安になった。海斗は、彼女が仕事に没頭する姿を見て、自分が入る隙はないのかもしれないと感じた。


かつては慰めと共感の源だった二人の関係は、現実世界の冷たい雨に打たれ、その脆さを露呈していた。隅田川のほとりで見た、光り輝く桜のトンネルは、まるで遠い夢のようだった。美しく咲き誇った花々が、無情の雨に打たれて散っていくように、彼らの間に生まれたばかりの絆も、はかなく消えてしまうのかもしれない。その予感が、二人を苦しめていた。


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