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山本さんのお嫁さんは、最強のヴァンパイアちゃん!?  作者: ほしのしずく
第4章:繋がる縁

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見るも無惨な新居

 駅近くの築浅マンション、十八畳のリビングダイニング。


 バリアフリーで艷やかな木目調フローリングには、引っ越しに合わせて、新調した家具や三人掛けソファーが整然と並び、壁には【戦え、ヴァンパイアちゃん】の高精細ファイングラフがあった。


 けれど、今はもう見る影もない。


 床はひび割れ、壁には鉄筋がのぞき、新生活に合わせて用意したそれら全てが――瓦礫と化していた。


(いや……なんでこうもトラブルばっか――)


 変わり果てた新居を前に項垂れる千恵子。


「山本殿……すまない……私の力が及ばぬせいで――」


 その隣で白銀の鎧を纏ったフリーディアがいう。

 しかし、その姿はボロボロで鎧はもちろんのこと、ヘルムも割れて、満身創痍といった感じだ。


「いやいや、フリーディアさんは悪くないよ」


「俺もすまねぇ……キルケーからは、どうしても祝いだから、それに会わせたい友達が居るとかなんとか……言われて――」


 大きな体を竦めた猛が口にした。

 革ジャンに赤のパンツ、そしてスキンヘッドという威圧感が漂う格好をしているのに、アカーシャと因縁がある自分のせいだと思っているのだろう。

 

 来たこと自体が間違いだったのかもしれないと、なんともバツの悪そうな顔している。


 そこには公園で千恵子を怒鳴りつけ、胸ぐらをつかんだ独走蝙蝠トップの男はいなかった。


「大丈夫、大丈夫! 幅霧くんも悪くないって、私も勘違いしてたわけだし」


「そうか……? それならいいんだけどよぉ……」


 彼女、千恵子の言葉を受け取りつつも、あまりの惨状に顔色は優れない。


 すると、千恵子の目の前で、膝を着き、息も絶え絶えとなっていたアラクネが申し訳なさそうに呟いた。


「ちえちえさん……私もごめんなさい……もっと丈夫な結界を織れていたら……こんなことにならなかったのに――」


「そんなことないよ? ラクネちゃんが居なかったら、この建物自体、終わってからね」


 彼女はこの大惨事を自らの得意とする結界魔法で、これ以上被害が広がらないように、奮闘してくれたのである。


 それを称えるならともかく、怒ることなどありえない。


「そうですよ! 皆さん! 誰も悪くないのです!! 悪いのは、あのお二人だと思います!!!」


(さすが、マナちゃん本音を隠しもしない。けど、そうだね。ここは――)


「うん、今回に関してはマジでそうだわ!! 聞いている?! 二人とも!!!」


 その視線の先には、ボロボロとなった大人アカーシャと傷だらけのキルケーがいた。


 しかし、二人とも千恵子の言葉が届いていない様子だ。


 向かい合って視線を逸らそうともしない。


「さすが……キルケーだな……フフッ! 正直ここまでやるとは思わなかったぞ……」


「僕も……だよ。ふふっ……全然、弱くなってないみたいだしね……」


(って、聞いてないし……)


 などと、呆れ果てる千恵子であった。


 ちなみになぜこうなったのかだが、それは千恵子がアラクネの話を聞いた直後に戻る。

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