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そしてリバース転生

 ええとこれ、前の話からの続きだよ。 


 そういう訳で、僕がどうして知能指数がこんなに低いのかが分かった。

 だけどそれはもう済んだことだし、くよくよするのはやめることにした。

 とにかく僕は知能指数17で生きていくしかない。


 それで、この知能でやれる仕事とか、ネットで探していたら、件の、つまり僕の現在の知能指数を魔カシオの電卓で計算してくれた魔王が突然どろんと現れ、いかにも「凄いことを発見した」とでも言いたそうなな興奮した様子で話し始めた。


「凄いことを発見したぞ!」

「凄いこと?」

「そうじゃ。凄いことじゃ」

「へぇ~、で、どんな?」

「それはじゃな、聞いて驚くな。リバース転生というものなのじゃ」

「りりり…」

「リバース転生じゃ」

「なんですかそれは」

「凄いことじゃ」

「凄いこと?」

「そうじゃ。凄いのじゃ」

「で、どういう風に凄いのですか?」

「あ~、この前わしはお前さんに、転生する際に、魔王が知能指数のマージン2割を頂戴する話をしたじゃろう」

「ええと、確かに」

「それでリバース転生なのじゃ」

「それでリバース転生?」

「そうじゃ」

「で?」

「リバースとは逆という意味じゃ」

「そうですよね」

「じゃから、転生するのではなく、言うなれば先祖返りするのじゃ」

「で、先祖返りすると?」

「はっきり言って、知能指数が魔界から返還されるのじゃ」

「本当ですか?」

「じゃが、それは本来、魔界の秩序を乱す」

「どうして?」

「マージンとして取られた知能指数は、すでに魔界で貨幣として流通しておる」

「はぁ」

「つまり、例えばお前さんの知能も、すでに魔界で流通し、ようするに散逸しておるのじゃ」

「へぇ~」

「へぇ~じゃない! 他人事のように」

「どうもすみません」

「なにも謝ることはない」

「はぁ~」

「それでじゃ、既に散逸しておる知能指数を回収するということは、熱力学の第二法則に反するのじゃ」

「ネツリキガク?」

「まあよい。それでじゃ。わしはそれを、つまり魔界の熱力学の第二法則を打ち破る、あ~、画期的な方法を見つけたのじゃ」

「どんな?」

「それは企業秘密故、言う訳にはいかん」

「はぁ~」

「しかしわしは、お前さんをリバース転生させることは出来る」

「そうなんですか。で、リバース転生すると、もしかして僕の知能指数が…」

「もちろん返還されるのじゃ」

「ということは?」

「リバース転生するたびに、お前さんの知能指数は1÷0.8、つまり1.25倍になる」

「本当ですか!」

「ただし、その際手数料として、わしに1%ほどくれ。じゃから一度リバース転生するとお前さんの知能指数は手数料を引いて1.24倍になる」

「やった♪」

「ただしリバース転生は言うならば先祖返り故、お前さんの生きる時代は過去へ遡ることになる」

「それはいいですよ。昔の時代も嫌いじゃないし」

「それと、リバース転生回数には限界がある」

「限界? まあいいですよ。また何かの法則があるんですね」

「そうじゃ。そしてその限界は10回までじゃ」

「そうですか。10回、ですね」

「それと、調べてみると、お前さんのオリジナルの知能指数は、あ~、聞いて驚くな。何と、200もあったのじゃ!」

「え~!」

「かなりの天才だったのじゃ」

「そうなんですか…」

「まあそれを悪質な魔王に、食い物にされたわけじゃな」

「う~ん…」

「それでじゃ。限界の10回、リバース転生するとお前さんの知能指数は、あ~、魔カシオの電卓で計算すると…」

「計算すると?」

「ちょっと待て。ええと、オリジナルは知能指数200で、じゃから現在は17ではなくて34で、ええと…」

 かちゃかちゃかちゃ(計算中)

「何と! 計算上知能指数292.210467221、つまり300近くじゃな」

「凄い!」

「ただしお前さんの生まれる時代は、10回も先祖返りする訳であるから、あ~、1600年代半ばになる。つまり17世紀じゃな」

「それじゃ僕、その17世紀で天才として無双できるのですね!」


 そういう訳で僕は10回リバース転生し、1642年のイギリスに生まれることになったみたい。

 そして僕の人生は何故か4歳くらいから始まったのだけど、それは魔界の何かの「大人の事情」があったのだろう。

 それはいいけれど、そんなある日の夕方、僕を育ててくれているおばあちゃんが僕を呼んだ。

「アイザック、ごはんだよ」

「ねえ、おばあちゃん。ところで、うちってなんていう苗字なの?」

「へんなこと訊く子だねえ。そんなことも知らないのかい? うちは代々ニュートン家だよ。だからお前さんの名はアイザックニュートンだよ」


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