(6)
「き……貴様ッ‼ 何て真似をしてくれたッ⁉」
大通りの向こう側の自称「冒険者ギルド最高幹部」の1人が、魔法の拡声器で、そう怒鳴り散らした。
「躾のなっていない老人も居たモノだな……」
平然と答える「鋼の男」の周囲では……えっ? な……なに……あれ?
魔力検知の能力が錆び付いてる私でも……はっきり視える……。
「何ッ?」
「俺は、神も運命も信じないが……今、生まれて初めて神や運命に感謝する。俺の親が、貴様のような礼儀知らずではなかった事にな。貴様のような奴に育てられていたら……どんな人間の屑になっていたのやら……想像するだけで背筋が凍り付きそうなほど恐しい」
「だ……だから……何を言ってるんだッ⁉」
「折角、助けに来てやったのに、その態度は何だ? お前は他人に礼を言うと死ぬ呪いにでもかかっているのか?」
「う……うるさい……お前の助けとやらのせい……ま……待て……そ……それは……何だ?」
「何かな?」
これで……目の前で起きている事で……あの「鋼の男」の力の全てが説明出来る訳じゃない。
でも……こ……こんなマジック・アイテムなんて……聞いた事も無い。
マジック・アイテムと言うより、魔界その他のマズい世界に住んでるヤバい魔物だ……。
ついさっき、虐殺された騎士達の体から「何か」が出ている。
その「何か」は……もがき苦しみながら……「鋼の男」の鎧に吸収されていき……。
冗談じゃない……。
あの鎧の魔力の源は……殺した相手の魂そのものだ。
あれは……死者の霊を喰らう「鎧」だ……。