連帯団体戦【蔘】
いつもと変わらぬ朝、いつもと変わらない一人での朝食。ではなく今日は朝から怜たちと一緒に飯を食べる予定がある。俺は事前に聞いていた飲み物を準備してノックが鳴るのを待っていた。
しばらく待っているとコンコンと4回ほどノックの音が部屋に響き、ドアを開くと外には怜や岩吉、叶夢がいて、おはようと挨拶をし部屋に招き入れる。
何故こうして朝から集まっているのか、それは今日ある団体戦のため……などではなくただ朝食をみんなで食べたい!って岩吉が言い出したからこうなっている。まぁ朝から賑やかだな。
「さてみんな、情報を整理しよう。海和ちゃんの能力は瞬間の移動。つまり超速く動けるってこと、でもその分体力の消費が激しいのが弱点だ」
岩吉曰く、能力をまとめ自分自身の弱点を見つけて団体戦で克服していこーということらしい。
なら俺は岩吉の弱点をあげることにするか。
「岩吉の能力は意識可の身体強化、自分自身が意識した箇所が強化できるもの。弱点は複数の場所に意識を寄せられないからこそ意識外の攻撃に弱い」
「僕はまだ能力を使ってないからどうしようもないね」
そう。怜は入寮試験から今日まで一度も能力を使っていない。体術でここまで勝ち抜いてきていたように見えていたかもしれない。でも実際は違うのかもしれない、俺たちが認識をできない能力の可能性もある。
「なあ怜、賭けをしないか?」
「賭け?」
突然の提案に首を傾げている。
「もし俺と戦うことになって勝てたらなんでも一ついうことを聞こう。」
「僕が負けたら?」
「お前の能力を教えてほしい」
そんな提案に怜は驚い素振りは見せず、
「いいよ。その賭けにのってみる」
「待ってくれよ! おれもその賭けしたいんだけど!」
岩吉がずるいぞ!という目をして声を上げている、が。
「岩吉お前賭けるもんないだろ」
「うっ」
「それに賭けなんてしなくても戦えたらそれでいいだろ?」
「た、確かに……」
なんだチョロいな。
「まぁまず別のチームにならないといけないけどな」
「あはは、そうだね」
「私も未来とか怜と戦いたいわね」
「え? おれは?」
その問いに叶夢は答えることはなく、そうして賑やか朝が過ぎていった。
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「先日も言った通り今日は団体戦をする。各自このクジを引に来い。」
先生の声が広い教室に響き渡る。
一人また一人とクジを引に行き、俺もその流れに便乗してクジを引にいくことにする。
全員が引いたのを確認した先生は再び話し始める。
「この団体戦は協力をするも単独で行動しようが自由だ。なんにせよこの団体戦を通して自分自身の弱点を見つけるといい。ではルールの説明をしよう、能力の使用は認められている。それに伴った専用の武具の使用も認められている、勝利条件は対戦チーム全員の行動不能もしくは降伏だ。怪我などはこちらで直せるが死に直結するようなことは極力控えてくれ」
先生が去った後、同じチームになったもの同士で集まりはじめた。恐らく作戦などを決めたりするのだろう。
もちろん俺も同じチームになったもの達と集まっているのだが、これまた曲者がいる。それというのも……。
「よろしくな!」
「黙れ。」
「おれ岩戸豪ってんだ! 仲良くしような!」
「黙れ。」
さっきからこんな状態が続いている。
今のでわかる通り俺は岩吉と組むことになった。岩吉がチームメイトと交流を深めようと頑張っているがものすごい冷たい対応であしらわれている。
こいつの名前は羽真雅、第一印象は口が悪い。
俺たちはAチーム、メンバーは篝未来、岩戸豪、羽真雅、豊城紅音、そしてここにはいないが惡朽吊乃亜……。
さて、どうなるか。