連帯団体戦【蔘】
今、俺は寮にいる……。いるのだが、何故か俺の部屋で岩吉、怜、叶夢と夜飯を食べるというのが日課になっている。
基礎体能力試験から早一週間が経ち、俺たちは学園での生活にも慣れてきていた。
「にしても早いよなー」
岩吉がそう話始める。
「何がだ?」
「だってみわっちなんてもうCランクだぜ? 早すぎだろ!」
そう、岩吉の言ってる通り海和は既にランクCになっている。入学からまだ一週間ほどしか経っていないのだが、普段の素行がいいというのもあるのだろう。
「確かにすごいね。海和さんの能力って確か」
「私の能力は瞬間的移動。まぁ実質ワープみたいなものね」
瞬間移動、入寮試験で予想できていたからそんなに驚きはしないが使い方次第ではかなり使えるだろう。だがこの能力の弱点、それはあくまで瞬間の移動であるという点、ワープではないではないということだ。
わかりやすくいうと一瞬だけならとんでもない速さで移動できるが長期的には動けない。
相手が瞬きをした瞬間にとんでもない速さで移動をする。だからこそ瞬間移動、ワープをしているように錯覚をする。
「そういや明日何あるか覚えてるかー?」
「クラス内での団体戦だっけ?」
「そうそれ! 5人でチーム組んでクラス内で対決するってやつ!」
「チーム分けはクジらしいからね、もしかしたらみんなと戦うことになるかもだね」
そう怜が言うと何故か岩吉と叶夢が俺の方に視線を向ける。
「私あの時のリベンジしたいのよね」
「奇遇だな海和ちゃん、おれもだ!」
「待て待て、高みを目指すなら叶夢だろ、俺はまだDだぞ?」
「ランクは実際の実力とは関係ないかもしれないじゃない! なんなら貴方しっかり測られてないだけで実力だけなら私より上なんだしC以上はあるでしょ!」
そんな海和の一言に岩吉がそーだそーだと便乗する。
俺はたまらず怜に目で助けを求める……すると怜はニコッと笑って……。
「僕も未来と一回戦ってみたいと思ってたんだ」
なにぃ!? 怜まで。そこで俺は話を変えることにする。
「そういやうちのクラスって他と比べて人数少ないよな」
「え? まぁ確かに少ないかも」
「うちはだいたい20人近くだが一ノ壱、弐、肆はだいたい40人近くはいるからな」
一ノ伍に関しては未だ情報がない。入寮試験にも一人も出ていなかったからな。
「でもクジかー、誰となるかなー」
「ちゃんと連携とるんだぞ?」
「あったりまえよー! おれの身体強化でみんなたおしていくぜ!」
それはほんとに協力してるのか?と疑問は残るが、気にしないようにしよう。
それから怜たちは各々自分の部屋に戻って行き、俺は部屋を片付けることにした。
誰となってもいいが、どうせならあいつら以外のやつとなりたいな。
……なんてことを考えながら深い眠りにつく。
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「……やっと見つけた。」
そんな声が誰の耳に届くことなく夜空に広がっていく。