学生寮と友達.2
「俺のクラスはーっと……一ノ蔘だな」
「僕も一ノ蔘だ。じゃあ改めてこれから宜しくね未来!」
英傑学園のクラス概要だが一年時のクラスは一ノ壱.弐.蔘.肆.伍とある。
俺と怜はこの中の一ノ蔘となった。
どんな奴がいるかなーなんて話をしているといつしか自分のクラスの扉の目の前まで来ていた。
「行くか」
「うん」
そう言い扉に手を掛け、力を込める。
扉が開き、中に入ると教室内にいる奴らの視線が集まる。
「ん? おーあん時のすげぇ奴じゃねぇか!」
そんな声が聞こえた。その方向に視線を飛ばして見ると。
あれは確か……確か、誰だ? 見覚えがあるような気がするんだが……覚えてない。
「誰だ……?」
「入寮試験の決勝戦で未来と当たった人だよ」
と、怜が耳打ちで教えてくれた。
「あー、あの時のやつか」
「いやーお前強かったな! あっおれ岩戸豪ってんだ、よろしくな! にしても強いんだなぁお前」
「あぁ、そうかもな」
辺りを見てみると一戦目で合ったあの女生徒もいた。
まさか俺と当たった奴が二人もいるとはな……。
この間に怜も自己紹介をしていた。
そして時間は経ち、今はクラスの全員が各々自由に席に座っている状況だ。
全員が静かに席に座っている中扉が開く、そこから一人の女性が入ってきた。
「おはよう。今日から君たちのクラスの担任を任された惡朽吊だ。今年から担任を受け持つことになった所謂新任というやつだ宜しく」
そう言って目の前の女は自己紹介をする。
それからは各場所の説明。この学園で行うことの説明。といっても授業などは戦闘などに重きを置いていて座学は少ない。対怪物訓練や学園対抗戦などが近日行われるらしい。それが大きく自身のランクに関係してくるだろう。
現時点では入寮試験で10位以内に入ったやつがDランク、それ以外がEランクとなっている。うちのクラスでは入寮試験で勝利した人間は岩戸、名前がわからん女、俺、怜の四名。妙にこのクラスに集まっている気がするがあまり気にしないことにした。
そんなこんなで今日は終わりを迎え、帰り道は怜と岩戸と喋りながら帰っていたのだが、何故か先生の話になってしまった。というのもあの担任……いや、一ノ蔘のクラスは美男美女が多いような気がする。
対して俺は少し中性的な顔をしていて、髪も少し伸びてきているからかいずれ女と間違われそうな予感がするがまぁ思い過ごしだな。
そんなこんなで今日は俺の部屋で一緒に夕飯を食べようという話になっていたんだが……まさか入寮試験で戦ったあの女生徒まで連れてくるとは思っていなかった。
岩戸に理由を聞いてみるとどうせなら交流を深めるって意味でも一緒に飯なんてどーかなー。なんてことらしい、面白いやつだ。あとで激甘プリンをご馳走してやろう。
全員が揃ったところで改めて全員自己紹介をすることになった。
「おれの名前は岩戸豪! 呼びやすいように呼んでくれ!」
そう元気よく自己紹介をする。そこで俺は、
「そうか。よし決めた岩戸、お前のことは今度から岩吉って呼ぶことにする」
そんなことを口にしてみる。
「岩吉……いいなそれ!」
気に入ったみたいだ。
「じゃあ僕もそう呼ばせてもらうよ。僕の名前は神室怜、僕のことも呼びやすいように呼んでほしい」
そう岩吉に続いて怜も自己紹介をする。
「おう!よろしくな怜っち!」
慣れが早いな、流石だ。こういう順応の早さが岩吉の強みでもあるのだろう。
「ん。じゃあ次は俺だな、俺は篝未来。同じように呼びやすいように呼んでくれ」
そう当たり障りのない自己紹介を済ませる。
「宜しく未来」
「よろしくな!かがりん!」
ここまでで俺の左の席にいる女生徒は一言も発っしていない。なんならガッチガチに固まっている。緊張しているんだろう。
「つ、次は私だね!」
少しでも緊張を和らげるように深呼吸をしている。
「改めて、私の名前は海和叶夢です。好物は……梨が好きです!よろしくお願いひます!」
噛んだな。
「あぁ、宜しく」「うん宜しくね」「おう!よろしくな、海和ちゃん!」
そう声がシンクロする。
「いやーでもあん時のかがりんすごかったなぁ!俺の防御とかお構いなしだったしよぉ!」
あん時、というのは入寮試験のことだろう。
「確かに、僕は未来とは戦ってないけどあれはすごかったね。身体能力強化系なのかな?」
「まぁそんなもんだな。って言っても怜も大概だと思うんだが。お前能力使ってなかっただろ」
「いや、あはは、僕の能力ってあんまり使い勝手はよくないんだよね」
「でもみわっちもすごかったよな!一回戦でかがりんと当たってて気づかなかったけどすげー強かったからな!」
「私もまさか一発でやられてしまうとは予想外だったよ」
そんな感じで夜飯は愉快な時間が続き、22:00を回ったあたりで各々が自身の部屋に帰ることとなった。
「賑やかだったな」
そんな言葉を吐き、今日は終わりを迎えた。
ご清覧ありがとうございました。
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