灼熱の体育祭 第二髄
「待ちに待った第42回旭丘高校体育祭開幕です。」
放送委員委員長が元気で明るい声で体育祭一日目の幕が開いた。
まずはじめの競技は50メートル走。
最初は一年生のαクラスからεクラスが走り、次にζクラスからκクラスそれを二、三年生も行う。
私のクラスはδクラスであるため一番初めの校舎側から二番目に近いところに位置するため比較的見やすい。出場選手は神薙風吹。彼は陸上部副部長で足の速さは折り紙付きだ。相手選手には彼以上の足の速さを持っている生徒はいないためまず一位はまちがいないだろう。この試合はもう見なくていいか。次の競技まで少し時間があるな。ちょっと散策でもしましょうかな。と思った瞬間、左肩をだれかにたたかれた。その方向に顔を向けるとその人の人差し指が微かに見えた。
私は危険を察知し、その人いや官能香織の右手を掴み、勢いよくそして自然にお姫様抱っこをした。
官能香織ではなければ私はお姫様抱っこをしなかっただろう。しかしどうしてだろう脳神経細胞でも
死滅していたのだろうか。
「不覚だ。私も知らないうちに変わろうとしているのかな。」
「先生なにか言いました~。」
「いや何も言ってない気にしないでください。」
「そうですか~。それはそうと先生約束覚えてますよねぇ~。」
「ええ。覚えてますよ。一緒に体育祭を回ろうって話ですよね。」
「そうですそうですぅ~。さあさあ行きましょう。」
香織はそう言うと私の左腕を掴み進みだした。しかし私は動かない。
「官能さん私は確かにあなたからの話は聞きましたがイエスとは言ってない気がしますが。」
「でも先生ぃ~。だれもノウとは言ってない気がしますけど~。違いますか~。」
「そうだな。(まあ時間もあるし大丈夫か。)」
「そうそう~。じゃあ先生行きましょう~。」
今度は私の両腕を掴み無理やり引っ張った。意外と力があるんだなこの子。私は少し驚いて足を進めることとなった。彼女は最初に連れて行ったのはそりゃそこしかないだろうな。
着いたのは一年δ組つまり私の教室だ。まあいいご身分だこと生徒たちがいないと思ったらまさかこんなところでパーティーもどきをやっているとは。
「みなさん何をやられているのですか官能さん。」
「さあ~。なんでしょうねぇ~。」
私はつくづく思う私は彼女に舐められているのか。いやそれはないだろう彼女には私を惚れさせるため色々と試行錯誤してきた現に彼女は私にしか色目を使わなくなった。それとも彼女がそうなのか。
ガチャン
扉の鍵が閉められ悪くいうと生徒四十人に監禁されてしまった。
「先生、待ってましたよ。」
大天使神子が目の前に堂々と立っている。神子は私より身長が高いため周りから見ればえさと獲物の構造に見えるている。しかし私と大天使さんは違う。今頃彼女は私の威圧で逃げ出したい気分だろう。しかしここで一つ疑問が残る。たいていの人間は恐怖または緊張で体中の酸素濃度が薄くなり過呼吸になる。皆も面接の始まり数分前などで経験したことはあるのではないだろうか。それと同じだ。それなのに彼女は一向に倒れない。対処方法は二つある一つ目は単純にバカであるから。だが彼女は『変幻自在』と呼ばれているほどなにもかも完璧こなしているましてや彼女はクラス委員長をやっているからこの選択肢はほぼ零%だ。つまり残されたはもう一つの選択肢。それは彼女にはこの
威圧を撥ね退けれるほどの何かに強い執着心を持っているということになる。
「クスッ。(ああ楽しみだな。人間の本質を知り、それにより未確認領域に踏み込む。そしてこの脳を拡張したような感覚はなによりも美しくまさに理想郷だ。)」
彼女の頭脳には何が創造されているのか考えるだけ笑顔が止まらなくなる。
「先生今笑いました。」
「はい?なんのことでしょう。」
「まあいいでしょう。先生、私たちと一緒に賭けをしませんかいやしましょう。」
「強制ですか。」
「はい。」
彼女は満面の笑みでそう答えた。
「まあいいでしょう。(満面の笑みで言われると少し怖いな。)」
これより私と生徒40人による乾坤一擲が始まった。