先生、何者!?その二
「如月先生。うちらは動きたいのにどうしてか動かないんですか。先生なんかしましたか。」
「私の支配から逃れてしゃべれている。もしかしたら私を救ってくれるかもしれない。いやもうやめようそんな期待は初めからしなければよかったのだ。」
如月先生はボソッとそう言った。そして教室の空気はいつも通り同じになった。
「先生にはどうしても聞きたいことが沢山あります。
まずおいくつなんですか?」
「......もう下校時間を過ぎてます。早く帰りましょう。」
「まあいいです。でも先生私いえ私たちは必ずあなたの笑顔にしてみせます。まだここに来て数日ですけど1度も先生笑ってませんよね。私たちのクラスのモットーは『怡然自楽』ですから!」
実は前日のクラスのラグネで月夜があることを提案していた。それはたとえ先生でもこのクラスの一員になった以上クラスモットーである全員を笑顔にして1年間を過ごすということをだ。もちろん異議を唱えるものはいなかった。しかしそんなものが達成できるのか?もちろん生半可な気持ちでは無理だろう。だがそんなものクラスメイトたちは百も承知。一つだけ言えるとしたら彼ら彼女らはやるとしたら徹底的にやる
(いい意味でも悪い意味でも)。なぜそう確信できるのか。それは一学期の時に皆で決めて一学期の4ヶ月間実際にやってきた経験が存在するからである。
「それでは先生また明日。」
月夜を中心とするクラスメイトたちが先生にそう言い残して各々の行かなければならない場所へと足を運んだ。
時刻は翌日の午前3時33分。これは私たちが決めた掟みたいなものの一つだ。この時間から30分以内に送ってきたメールは全て証拠のある真実であると言うこと。証拠と言っても実際に自分で見ただけではダメだ。録音、録画をしており、尚且つそれが誰だかわかるようなものを所持してるものだ。もちろん他言無用で発信したメールは5時までに消すことになっている。
これを作ったのはだいたい7月の初めくらいである。
提案した人は意外にもクラスであまり目立たず人とすら喋ってる所を見たことない男子であった。しかし月夜率いるクラスの中心人物たちはそんなことを全く気にせず制作した。いや彼の巧みな会話術によって制作されてしまったと言った方がいいだろう。
実際に作られた時彼は不気味な笑顔で笑っていた。しかしそんなとこは誰も知らない。
例の提案の時間が開始され最初の5分間は誰も発信してこなかった。しかしダムが崩壊しその中の水がいっせいに暴れて激しく流れ出るように沢山の『真実』が送られてきた。月夜は今回の真実共有会で如月先生の糸口を探そうとした。しかし何分経ってもそれをみつけることはできない。なぜなら誰も如月先生のことについて1つも有益な情報を所持してなかったからだ。
ある過激な生徒は先生に対して暴力的な発言をし、わざと水筒を落とし、水を全身にぶちまけた。しかし待っていた結末は違った。優しく微笑みある過激な生徒
鬼瓦暁斗にこう言った。
「お怪我はありませんか。」と暁斗は自分が悪事をやっていることには自覚があったが罪悪感はなかった。しかしその如月先生のちょっとした動作だけで心の奥底で燃え広がる炎のように罪悪感と自分が今までしてきた羞恥心を味わうこととなった。そしてその日以降暁斗は性格が丸くなっていた。
ある色気のある生徒は男が憧れる色んな方法で如月先生を誘惑して見せた。しかし顔色一つ変えず先生は誘惑する生徒官能香織に紳士的にこう言い放った。
「自分の体をもう少し大切にしてください。」と。そのひとことで彼女は唖然いや先生に惚れてしまった。それが原因で如月先生に今まで以上に色気を使うことは後に知ることになる。
他にも自分の長所を生かし先生の隙を見つけようするが誰一人として叶わなかった。
これにより月夜たちは先生に『パルフェ』という異名を付けて共有会は解散となった。
それから月日は流れ今日は10月14日体育祭予行練習日つまり体育祭の前日である。
異名を付けられてから今日この日までいまだ糸口を見つけることが出来ていない。月夜率いる一軍女子はちょくちょく先生に接触しようとしているが笑うどころか彼女が接触を図ろうとすると見透かしていたかのように足早に職員室(いや屋上と言ったほうが正確かな)に行ってしまう。
まあ結論からいうとみんながいろいろと試してみたがなにも得られなかったということだ。だがしかし一つだけわかったことがある。それはこれを先生が赤子をあやすかのように楽しんでいることだ。
赤子をあやすつまり先生は完全に生徒たちをなめきっている状態ということだ。しかしここはまだ会社ではない学校だ。学校にあり会社にはないもの。それは数か月で一度は必ず自分の実力を見せつけることができる場所が提供されるである。会社では自主性がないと来ることはないが学校であれば
例えば定期テストや文化祭などのイベントが絶対に発生してしまう。
体育祭も例外ではない。つまり先生と言っても見た目は同じ年の男子いや下手したら男子いやクラスの中で一番華奢かもしれない『人間』である。この年で教師になるということはあまりこのようなイベントに参加したことがないと考えた月夜たちは明日の体育祭全力で先生を笑わせるいや笑わせるだけでなく楽しませると思いを決め計画を進めようとしていた。