神で、人間で、
眩しいなぁ。
曇ればいいのに。眠い。いつも以上に眠い。
通学バスでガチ寝していた。
呑気に日向ぼっこしていたら声をかけられた。
「おーはよっ!」
「おはようございます~」
親友のサナだ。可愛いなぁ。
彼女とは、中学入ってからの友達だ。
入学式の日に名前ペンを忘れてしまってその時前の席だったサナが貸してくれたのが出会い。
入る部活は同じ。どっちも吹奏楽部だ。
私たちは中学3年生。あと10カ月足らずで受験だ。
「受験面倒だなぁ。」ボソッと。これは本気で思ってる。
サナが「ドンマイ。」と言ってきた。
「集まって!学年集会します!」と、学年執行部。
「また誰かやらかしたのかなぁ」とサナ。
「そうなんじゃない?」何度目だよ。学年集会。
1週間に2回はある。最早、定期的といっても過言ではない。
私の学年は宿題をしっかりやってこない人が多い。
朝だからきっと忘れた人が何人もいるのだろう。
面倒。家に帰って、林檎食べたい。
いつものように多目的室に向かい、座る。
窓が空いていて涼しいなと思った。
先生が前に出てきて礼をした。これは誰か何かやらかしたな、と確信。
いつものように話を聞き流す。内容が私に関係ないから。
また宿題の話だった。私はしっかり出した。名簿にしっかり丸がついている。
いつまでこの話をやっているのだろう。
まぁ、こんな事もあるか。
自分の感情に珍しく許容の心が出た。
まぁ、忘れた事に対して許容しても意味が無いだろうけど。
時間の無駄だなぁ。
突然、強い風が吹いた。空いている窓から風が入ってくる。
見ると、きれいな女の人が。
きれいな女の人に羽がはえている。天使?
髪は薄いパープル。服はまるで月を連想させる美しいスカート。
ヒールは青。ファッションショーに出てたら間違いなく女神とあがめられる、と思う。
何でだろう。見たことないはずなのに既視感がある。女の人に。
アニメ?漫画?私は記憶を漁る。見つからない。
その天使に見える女の人は何かを小声で唱えると、美しい毛並みの狼を召んだ。
何で召んだとわかったのだろう。まぁ、置いておこう。
周りを見ると皆、びっくりしていた。先生までもが。
まぁ、そうだよね。驚いてない自分がびっくりする。
今日の私はおかしい。本当にそう思う。
何かなぁ。見たことあるんだよなぁ。
もう少しあの子、優しい子...は?
何を考えた?私。ほら。
唐突に私は風景を思い出した。懐かしい。あの水晶玉から世界を見ていたんだよ。
そうだ。思い出した。私は世界の管理者。神と言う存在だ。
私は世界に降りたのだ。どのような現状かを知るために。
私は将来世界旅行をしたいと思っていた。いろいろな土地を見たいと。
本を読み漁った。様々な考え方を知るために。
もし、知るために来たのならば自分の行動も頷ける。
そして、私は立ち上がった。天使、いや自分の世界のもと、家族であり臣下のもとへ。
急に立ち上がるもんだから皆びっくりしてる。私だってびっくり。
自分は神であることに。ここに居るのに期限があったのに。
「久しぶり。ありがとう。」
これで、伝わるだろう。私の右腕の彼女には。
「お帰りなさいませ。セレーネ様。」
「ただいま、ルーナ。」
周りが更にびっくりとする。前に立っていた先生が
「この人は?」と、聞いてきた。びっくりしながら。
私は迷わずこう答えた。
「私の、家族であり右腕です。」
サナが聞いてきた。
「あなたは?」
ああ、これが普通の反応なんだ。
私も変わらなければ。この世界の守護神として。私は、人では無い。
もう、後戻りは出来ない。
ルーナの方を向くと新しく体と服を作ってくれた。
服は紫が基調のスカート。デザインが少し違うだけで、ルーナとほとんど同じだ。
体には羽ができた。天使のように。顔も綺麗になった。ニキビが無くなった。
「改めて挨拶を。この世界の守護神、セレーネ。迷惑をかけてしまったわね。」
周りが唖然とする。
誰かが「かっ、神!?」と叫んでいる。
もう、ここにいるのは難しい。元の体は消滅してしまった。
二度と日常には、戻れない。人間でいる頃の日常。
「今までありがとう。」
この一言だけ残した。自分の決意。
サナ、ごめんね。行かなきゃ。
私たちは消える。世界を管理するために。
私たちは管理世界へ向かって飛び立った。
羽があるはずなのに。背中は重かった。
思いつきで、書きました。