二次元物語
こんにちは!。おいらは『三角形』。名前ではなく種族のことだよ。君は,三次元の世界の,人間という種族でしょ?。おいらは,二次元の世界の『三角形』という種族なんだ。二次元とは,縦と横しかない,つまり平面の世界のことさ。イメージが出来ないかな?。そうだな⋯⋯。⋯⋯たとえば⋯⋯,紙と鉛筆を用意してくれないかな。紙に『三角形』を書いてくれないかな。三角形とは,三本の直線の端と端をくっつけた形のことさ。多少,曲がっていても気にしないよ。書けたかな?。それがおいらだ。その紙の上が二次元界なのさ!。実は……,『三角形』にも……身分があって……,それぞれの直線の長さが等しいほど,身分が高いのさ……。
正三角形 〉二等辺三角形 〉直角三角形 〉ただの三角形
となっているのさ。残念なことに⋯⋯,おいらは⋯⋯,一番身分が低い,ただの三角形なんだ,ぐにゅ~ん。時々,おかしな言葉になっているが,実は,自動翻訳で君に分かる言葉に変換されているのがにゃほ⋯⋯。⋯⋯ん?,また,翻訳機の誤動作かな?。
おいらの周りには,いろいろ仲間がいるよ。三角形だけでなく四角形や六角形,あっ!,あれは四十八角形(正四十八角形ではない)。それぞれの直線の長さが等しくなくても,あれだけ線があると身分は高くなるらしい。うらやましいな⋯⋯。でも,何故そう思うのかな?。身分が高くても二次元界では何も意味をなさないのに。
「・・・さきほどから,うるさいわね。」
ぎゃ,あれは『円』!。
「おっほほほ,わらわは『円』。『三角形』ごとき愚民のそなたには・・・・・・。」
形をなす線が多いほど身分は高くなる。つまり,円が一番,偉いのさ。たまたま『円』として生まれただけなのに。本人の手柄でも何でもないのに。たまたま運が良かっただけなのに。いつもいつもいばりくさって,腹が立つ。
《《《チェンジ!》》》 突然,二次元界に謎の音声が響いた。
「・・・何ということ。わらわが愚民の三角形になって・・・,キーッ。」
いばりくさっていた『円』が,いつも馬鹿にしていた『三角形』になったようだ。ざまあみろ。おいらは⋯⋯,何と,『円』になっている!。⋯⋯どういうことですか?。⋯⋯おいらは⋯⋯俺様は⋯⋯元『三角形』の『円』であるぞ。者ども,頭が高い。⋯⋯ん?。
~終わり~