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エリー・キュウイ

 囚人服のままでは色々と勘違いされそうなのでカノンに服を買ってきてもらい、エリーにあげた。

 ちなみにエリーを買ったお金とカノンが買ってきてくれた服のお金はおれがバビロンのパーティーにいたころの貯金だ。少ないがちゃんと給料をくれていた彼らは今頃どうしているのだろう。

 そんなことを考えつつ、僕は一旦ベンチに座ってエリーの話を聞くことにした。

 空は夕闇に支配されていき、夜の時間がやってくることを告げていた。

「私は貴族、ババレント家でメイドをしていました。ですがある日、何者かがババレント家に入り込み、そのときババレント家にいた私以外の人間を全員殺しました。そして、なぜか私だけが殺されずに騎士の方々が来て、私は捕らえられたんです」

 たしかに状況だけ見ればエリーが疑われるのもわかるな。

「ねぇっほんとにこの子を信じていいの? ババレントの悲劇はエルフの私でも知ってる大事件よ」

 カノンが横でこそこそと言ってくる。

 ババレントの悲劇。エリーが巻き込まれた事件はそう呼ばれている。奴隷市場の店主からある貴族を皆殺しにした、と聞いたときにはピンとこなかったが、かなり有名な事件だ。

「僕は信じるよ」

 そうカノンに言って僕は話の続きを聞く。

「捕まってからは地獄でした。看守には拷問、檻に帰ると今度は他の囚人からのいじめ、頭がおかしくなりそうでした。それで罪を認めてしまい、奴隷にされてしまったんです」

 エリーは辛そうに語る。無理もない。さっきから彼女の表情は見ているだけで痛々しい。

「真犯人の顔は見なかったの?」

「マスクをしていたのでわかりません。ただ彼はババレント家に保管されていた魔王の爪を盗んでいきました」

 魔王の爪? たしか大昔に魔王を倒したときに、復活できないように身体の部位をバラバラにして封印した。その中の一つが魔王の爪だ。

「エルフの国にも魔王の角があったよ」

 魔王の角。それも魔王の爪同様封印された魔王の身体の一部だ。まさか……

「ねぇ、エルフの国を燃やした犯人とババレント家を襲撃した犯人は同じで、目的は魔王の部位だったとは考えられない?」

「たしかにー。エリー、ババレント家を襲った奴は火のスキルを使ってた?」

 カノンがエリーに尋ねる。

「いえ」

 エリーは首をふる。

 エルフの国の火災とババレント家の襲撃、この二つの事件の犯人は同じではないかもしれないけど、二つの事件が繋がっている可能性は十分にあるな。


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