魔王の十柱
「例の組織と対抗戦の景品を魔王の右腕ってとこでピンときてね、対抗戦が行われているこの街に来てみれば、ボロボロじゃない三番隊」
マキがワープに向かって言う。
「うるさいわ。僕が負けへん限り三番隊は負けてへん」
だらだら冷や汗を流しながらもワープは強がる。
「そういえば初めましてですね。俺はアイ・スプリング。マキ・スプリングの夫です。いつも妻がお世話になっています」
アイが丁寧な口調でワープに向かって頭を下げる。
「ちょっと! やめてよ!」
マキが顔を真っ赤にして叫ぶ。
「挨拶しとかないと。同僚なんでしょ?」
「あいつはいいの。ワープちゃんはとてつもなく嫌なやつなんだから」
「同僚の人にそんなこと言っちゃダメだって」
「おいおいおい。ちょっと俺らのことなめすぎなんじゃねェの? S級さんよぉ!」
さっきまで苦しんでいたはずのアオビが青い炎に包まれながら立ち上がる。
「俺の青い炎でさっきの炎をかき消した。おいイカレ女ぁ! 俺の力を解放しろ!」
「やめておけ。アイ・スプリングはうちのボスと同じ戦ったら死ぬタイプだぞ。君のスキルで逃げるよパラド」
スノーはアオビを止め、パラドに指示を出す。だがパラドはアイを見つめてぼーっとしていた。
「パラド。聞いているのか?」
「あの人……」
パラドが呟いた。
「おい!」
「ご、ごめん。逃げるのね。了解」
スノーが怒鳴ると、パラドは我に返ったようだ。急いでスノーの肩に手を置く。
「あんたも」
言いながらパラドはアオビの肩にも手を置く。
「それじゃあ、さよなら。王宮騎士団の隊長たちにアイ・スプリング。君からはどこか懐かしい香りがする。私たち会ったことあったかな?」
「……ないよ」
「そうか。……我らは魔王の十柱! 魔王を復活させこの世界を滅ぼすものだ!」
スノーがそう言うと、三人はその場から消えた。恐らくパラドのスキルを使ったのだろう。
こうして一つの戦いの決着がついた。王宮騎士団三番隊とカンバラは魔王の十柱と名乗る組織から魔王の右腕を死守したが、三番隊は致命的なダメージを負ってしまった……




