カノン・ミレーネ
その後、黒ゴーレムを倒した僕と少女は街のカフェに入った。
「さっきはありがとう」
「いえいえ」
僕は首をふった。ぶっちゃけ、こんな綺麗な人とランチできている時点で大満足だ。
「ねぇエルフの国を襲った大火災、知ってる?」
エルフの少女はそう尋ねてきた。
エルフの国は数年前、謎の大火災で滅んでいる。火災のせいでエルフの大半は死滅してしまったのだ。
「あの火災、原因は謎扱いになってるけど、私はあの日エルフの国を燃やす男をはっきり見たの。人間だった。私はずっとそいつを追ってる。あんた何か知らない?」
エルフの国全焼事件にそんな裏がったのか。
「それはわかんないけど、四人しかいないS級冒険者の一人が火のスキルを使うって聞いたことあるよ」
ちなみにその冒険者は僕が所属しているギルドにいるらしいが会ったことはない。
更にちなむと僕はC級だ。昇級は個人の強さで決まるため、自分にバフがかけられない僕は万年C級なのだ。
「なるほど。あの、その、もし良かったら、私とパーティー組んでくれない?」
まさかの提案だ。てっきりいきなりあんなことしたから嫌われてると思ってた。優しい人なんだな。
「いいですよ。僕もさっきパーティー追放されたんで」
「え? どういうこと?」
僕はパーティーを追放された経緯を彼女に話した。
「何その酷い話! 私が一言文句言ってくる!」
「まあまあ」
怒る彼女を僕は宥める。
「でもパーティー僕と君しかいないね」
「いいじゃない私と……そういえば自己紹介がまだだったわね。私はカノン・ミレーネ。スキルはエルフ秘伝のスキルの一つ【五大魔術】よ」
「僕はウロナ・ポーン。能力はさっき見せたバフだ。よろしく」
こうしてカノンとパーティーを組むことになった。
「それにしても何で僕と?」
「それは……また、キスして……」
「お待たせしました。イカ墨パスタです」
注文していたイカ墨パスタがきた。定員さんに軽く会釈してパスタを受け取る。
「そういえばなんか言おうとしてた?」
「な、なんでもないわよ!」
え? なんで怒られたの?