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ゴリラ

 僕のスキルの契約。それはバフをかけたい相手と口づけすること。僕はスキルを手に入れてからバフをかける相手とキスしてきた。もちろん男とも。だからなんの抵抗もないんだけど……

「い、いやよ」

 エルフの彼女には抵抗があるみたいだ。うぶだなー。可愛い。

 おっと。そんなこと言っている場合じゃない。

「頼むよ。そうしないと君を強くできない」

「やだ。見ず知らずの相手となんで……そ、その、き、きすなんて!」

 顔を真っ赤にして少女は言う。

 しかたない。なら……

 僕は少女の首に手を回してこう呟く。

「後で僕をぶん殴って」

 少女に顔を近づけ僕は彼女の唇を奪った。少女は真っ赤な顔でぎょっとする。

「なにしてくれてんのよ!」

「すいません。でもこれで君を強くできる」

 僕は少女にバフをかける。すると少女は自分の変化に気が付いたのか、ステータスを確認していた。

「うそ。何これ?」

 スキルに目覚めた頃、僕のバフで上がるステータス値は微量だった。でもその数値が徐々に上がっていったのだ。その徐々に上がっていったバフの数値をバビロンたちは自分のステータスが上昇していたと勘違いしてしまった。

 だがいきなり僕のバフがかかれば、こういう反応になるらしい。スキルが成長してからはパーティーメンバーにしかバフをかけてこなかったから新鮮だ。

「そのステータスなら戦えるでしょ?」

「……」

 無視された。やっぱり怒っているのだろうか?

「許してあげる。……その代わりまたキスして」

 ボソッと少女はなにかを呟いた。「今なんて?」と聞こうとしたが、僕をおいて空の世界に飛び立つ。

 少女はゴーレムの近くまで行くと、ゴーレムの頭を蹴り飛ばした。ゴーレムは地面に叩きつけられる。

 そしてそのまま少女はゴーレムを殴る蹴る殴る蹴る。さっきのスキルは全く効いていなかったが、今の打撃は明らかにダメージを与えている。

 それもそのはず。僕のバフはスキルを強くするものじゃない。

 この世界のステータスは武力と能力値を足したもの。

 武力とは身体能力。能力値とはスキルの練度。

 仮に彼女の総合ステータスを一万としよう。そしたらこんな比率になっているはずだ。


 武力9877

 能力値123


 僕のバフはあくまで身体能力を最強クラスに引き上げるもの。つまり、あんな華奢な少女でもゴリラにできるのだ。

 そう見えない誰かに僕のスキルを解説していると、突然風の刃が飛んできた。

「今なんか失礼なこと考えてた?」

 国を滅ぼした伝説を持つA級モンスターを打撃でボコボコにしたゴリラ少女は僕を睨む。

「い、いえ。なにも」

 こう答えるしかないよね?

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