表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/44

エルフ少女との出会い

 親友に裏切られ途方に暮れていた僕はなにを血迷ったのか魔物が出る森へと向かった。きっと証明したかったんだ。一人で戦えることを。

 でも僕のスキルは自分には使えない。だから森に行ったとしても魔物に襲われるだけだろう。

 まあ、それでもいいか。

 そんなことを考えながら森に入ると、近くで爆音が鳴った。僕は気になって音のほうに向かう。

 するとそこには五メートル以上はある黒い塊がいた。よく見ると人の形をしていて、頭のような部分に二つの光が灯り動き出す。

 あれはA級魔物、黒ゴーレム。大昔たった数体で国一つを滅ぼしたとされる伝説級の魔物だ。

 おかしい。黒ゴーレム程の魔物がこんな初級冒険者の森にいるなんて。

 僕が疑問に思っていると、その黒ゴーレムに攻撃を仕掛ける人影を発見した。

 長い黄緑の髪に色白な肌。尖った耳は彼女の種族を表していた。そう、彼女は恐らくエルフだ。珍しいな。たしかエルフの国は……

 エルフの少女は緑の風を纏って空を舞い、黒ゴーレムに攻撃する。しかしその攻撃はまるで効かず、少女は黒ゴーレムに叩き落されてしまう。

 僕は急いで少女の元に駆け寄る。少女は完全に意識を失っていた。それでもゴーレムは止まらず、少女の息の根を止めようと、こちらに進撃してくる。

 まずい。

 僕は少女を抱えて走り出した。

 どうする! 僕一人じゃこいつには勝てないし、近くにバフをかける仲間もいない。

「ちょっと何これ! 誰あんた?」

 少女が目を覚ました。どうやら意識を取り戻したらしい。よし、これでバフをかけられるぞ。と、思ったのだが少女は突然暴れ出す。

「離して! 変態!」

 変態ってたしかにさっきから柔らかい胸が当たっててちょっと意識しちゃってたけど、今そういう状況じゃないじゃん。

「わかった。でも代わりに僕の話を聞いて。君を僕のスキルで強くする。だから一旦僕と契約してほしい」

 僕のスキルには使う相手と契約を結んでおかなければならないという制約がある。

「はぁ? あんたの助けなんかいらない。私は一人で戦う。……火の聖霊よ」

 そう唱えると彼女の身体が発火した。

「あっつ!」

 僕は思わず彼女から手を離す。

「風の聖霊よ」

 またまたそう唱えると彼女は再び空を舞う。それから彼女は「土の聖霊よ」と上空で唱えた。するとゴーレムの前の地面が盛り上がる。直進するゴーレムは盛り上がった地面に足を引掛けこける。

 少女はゴーレムを見下ろしながら指を鳴らす。そしたら上空に火と風で構成された矢が、無数に表れた。

 矢は一斉にゴーレムを攻撃する。

 凄い。あの子めっちゃ強いじゃん! なんのスキルなんだろう。

 そう関心しているとゴーレムが攻撃を受けながらもゆっくりと立ち上がる。

 噓だろ。あれでも倒れないのか。

 僕と同様、少女もぎょっとしていた。

 ゴーレムは大きな手で少女をはたくような攻撃をする。それをなんとか少女は避けるがバランスを崩したのか不安定な体勢で着地してしまう。

 その隙をついて、ゴーレムはまた少女をはたく。

 僕は大地を蹴り、駆け出していた。そして、少女の元にたどり着くと、彼女を突き飛ばす。代わりに僕の目の前にはゴーレムの大きな手が。

 そこで僕の意識は途絶えた。


「はぁはぁ」

 荒い息遣いが聞こえる。僕が目を開けるとエルフの少女がいた。良かった。無事だったみたいだ。

「あ! 気がついた? よかった」

 そこで僕は気がついた。今僕は少女に抱きかかえられている。そして、後ろには黒い塊が……

 どうやらゴーレムにやられてから今まで僕は彼女に守られていたようだ。

「さっきはありがと。それとごめん。助けなんかいらないって言ったけど、私一人じゃあれに勝てない。だから力を貸してほしい」

「わかりました。じゃあキスしましょ?」

「はぁ?」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ