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秀才バッファー追放される

「お前、クビな」

 僕こと、ウロナは、たった今おれのパーティーのリーダー、バビロンに戦力外通告を受けた。

「いやいや待て。僕はパーティーのバッファーとして役に立ってるはずだ」

 バビロンは全ての指に指輪を付けており、きらびやかな金のネックレスをしている。服装も豪勢で、どっかの貴族みたいだ。

 それに対して僕はなんの装飾品もしていない。もともとそういう趣味ではないというのもあるが、装飾品を買うお金がないのだ。それは魔物を倒して得たお金のほとんどが僕以外のパーティーメンバーに配られているからだ。

「昔はな。でももういらないんだよ。俺らはお前なしでも強い。このステータスを見ろ」

 バビロンはおれに自分のステータスを見せてくる。


 総合値13487


 歴史に名を連ねる冒険者と遜色ないステータスだ。

 だがこれは彼の力ではない。

 これは僕のバフの力だ。バフの持続時間は一週間。たしかに最初は数分程度だったが、様々な魔物を倒していくうちに進化した。

 長時間続くバフを常にかけ続けているため、彼はバフの力を自分の力だと勘違いしているのだ。

 僕は何度も弁解した。でも彼は信じようとしない。

「噓つくな」

「使えない奴は消えろ」

 バビロンどころか後ろにいる他のパーティーメンバーも僕を信じようとしない。

「もうお前のバフがなくても戦えるんだよ」

 バビロンとは昔から親友だ。このパーティーに誘ってくれたのも彼だ。そう考えると今までちゃんとした生活できていたのもバビロンのおかげ。

 それに実際パーティーメンバーの能力も上がっている。

 今までのように伝説級の魔物とは戦えないが、上級の魔物には通用するだろう。それなら普通に暮らしていける。

「わかった。パーティーを抜ける。でもこれからも友達だよね?」

「は? これからも? 俺とお前はいつ友達になったんだ?」

 その瞬間、僕とバビロンの思い出が崩れ去る。そうか。僕が勘違いしてただけか……

「……そう。それじゃあね」

 僕は友人に別れを告げる。

「もう私たちの前に現れるなよ」

 後ろからパーティーメンバーの罵詈雑言が聞こえる。

 僕みたいな奴にはお似合いの言葉だろう。


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