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【本編完結】小学生で迷子になっている   作者: へますぽん
王都 十三歳〜

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身代わり1

舞台鑑賞が趣味な仲間と楽しく過ごしていたはずがストーカーに見初められた。

彼がやや美男子よりの見た目であったため、やっかまれたこともあり、あまり周りも真剣に助けてくれない。

「でも、さすがに帰宅してカギを開けて入った部屋のベッドで女が熟睡していたら、寮も学校も友達も問題があると理解してくれたの。今は友達の部屋を転々としているのよ」

通学も単独にならないように人がついているが、

先日は夕刻男に囲まれてあわや連れ去りの危機があったという。

「ってそれ、事案じゃないですか。」

「そうなのよ。困っているの」


でわたしに護衛と身代わりをせよという話なんだそうだ。


でもね。

やや美男子。16歳。


身代わりを

って言われても、16歳と14歳って成長期だから全然違うだろう?

女中さんに連れられて店舗並びのヘアサロンへゆき、髪色の魔法をかけてもらう。

ひと月でプリンになるのに初任給の3割くらいの費用なのであまり普及していない。

初めて見た。

ツヤツヤになって美しい。さすが王都のメインストリート。

場違いで椅子の上で縮こまる。


「坊っちゃん、美形って評判だし無理じゃないですか?」

「…ぁ。雰囲気イケメンってやつなんで、ぜんぜん問題ないです」

その肝心な雰囲気がないんだけど。


去年のお気に入りでサイズアウトしたお下がりを支給される。

張りのある目の詰んだしっかりと重い羊毛地のジャケットとスラックスでとても上品だ。

肩周りがすこしキツくて袖と着丈がすこし長いけれど、新入学ってほどじゃない。


「髪色と服で印象がだいぶ坊ちゃんぽいです。髪型を合わせましょう。肌色をすこし明るくして15m離れたら解らないですよ」


それ、案山子でもたぶん似てると思うよ?


かかとの高い靴とお下がりは鞄にしまい、奥さんからの手紙を携えて坊ちゃんが立てこもっている学校の寮に女中さんとアルと三人で向かう。

侵入後は警備員が配されて管理人さんも神経質になっているけれど、造りがあまり厳重ではないのでいつまでもこの緊張が続く状態に耐えられるか分らない。多くの人間が出入りしている以上セキュリティは厳密ではない。もし力ずくで誘拐未遂がここで発生しても防ぐのが難しい。

それで迎えに来たのだ。


女中さんが

「弟妹のを見よう見まねでやっただけなので、美容師さんのようにはいかないんです」

といいながら、器用に坊ちゃんのやや伸びた鳶色の髪に似せて私の髪をサクサクと切ってゆく。

「テオはけっこう髪伸びていたんだな」

「頭に布を巻くので分らないよね。寝癖がつかなくてラクだったよ。アルも伸ばしているでしょう?」

肩甲骨にかかるくらい伸びていたのを短い棒をかんざし代わりに使ってまとめていた。

「巻いちまうとイチイチ切りに行かなくても良いような気がするんだよなあ」

髪を洗うのが面倒になるまでは伸び放題なのだ。


わたしには白っぽいドーランを坊ちゃんには濃い色のドーランを塗り

このあいだ新調した外套とズボンとターバンを坊ちゃんが身につける。

日暮れ前にアルと女中さんと共に引き上げていった。

アルとお揃いの臙脂のターバンとパーティで誂えた外套で身長差の大きい仲良しコーデだ。

わたしは坊ちゃんの部屋のカーテンの隙間からちいさく手を振って見送った。

お付き合いありがとうございます

続きは明日の朝6時です

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