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焚きあげる

一月弱かけてついにフレデリック迷宮の最深部に到達する。


「素材と装備の棚を用意しました。足元の袋とか箱の中身を選別してください」

「もう合わない装備もあるんだけど。でも。もったいないような気もしてなあ」

「売ってお金にしましょうよ。資料、ここにありますが古い情報は捨ててください」

「装備っていっても。売っても、いくらにもならないと思うよ」

「置いていると新しい装備が購入できません。じゃんじゃんアップデートしましょうよ」

「悪魔だ。浪費の悪魔のささやきだ!!」

「わたし金食い虫なんですよ。いろいろ初期投資させてますね」

「いや。それは発掘した金貨とか素材で足りてて。俺意外と貯金していたんだなって感慨深いわ」

「…それハヤニエ的なものでは??」

「いや。まあ。…よし。じゃあ売れそうなものをまとめて換金に行こう。そんで美味しいものを買おうな」


コツコツ集めたもの。思い入れのあるもの。いただきもの。処分するのに躊躇うよね。

あと、要るのか要らないのか判らなくて保留中とか。

分かるよ。わたしも断捨離、苦手だ。

疲れて帰ってきて選別しがたいよね。


「判断を保留する箱はここです。迷ったらこの中にいれて棚の一番下に保管します。さくさく進めましょう」

考えるな。感じるんだ。あと思い出に浸るな。


「オレ、この家借りてもう4年になってた。借りたときは広々って思っていたんだけどなぁ」

「内容充実してますね。ギチギチに詰まってます」

「装備とか素材とか保管できるようになって嬉しかったのよ」

「いっぱいありますね。あとものすごくたくさん靴下を所有してますね」

「靴下って履こうとすると見つからないだろ?だからどうしても予備が必要なんだ」

「パンツの出土品も多いのですが、捨てていいですか?変色しているものとかカビが生えたものとか洗濯で落とせないんです」


ズルズルと大きな袋いっぱいのパンツを引きずってきて、

「堆積物の下で黒くカビが発生しているんです」

と現物を出そうとして止められる。

「処分で!焚きあげちゃって!」


「裏庭で火の魔法使ってもいいですか?」


フレッドさんに火の魔法を見せてもらう。

「そぉれ」

気の抜けた声をかけて、カビパンツに向かってひゅっと火を放つ。

床に直置き放置で湿っていたはずなのに、たちまち燃え上がる。


「水の時みたいに火って言わないんですか?」

「別に声を出す必要はないんだよ。よいしょ。って言って立つだろ?アレだ」


「よいしょー!」

言って火が出るなら試したい。


ビシッと次のパンツを指し示し、大きな声で叫んでみる。


ポーズだけだ。火は出ない


「パンツから炎が立ち上がる様子をイメージして」


自分の中ですでに燃えているパンツの図像を浮かべる。そしてそれが実現されるべし。と指さす。

「こうっ?」


「もう少し丁寧に様子を思い浮かべてごらん」


繊維が熱で炭化していく。燃える部分からの熱で更にまわりの生地も炭化し燃え広がっていく。


中学校で酸化って習ったとき、よく判らんかったな。火が出なくても燃えてるってなんだよ?って躓いたんだ。

魔法、わたしを助けて。

「燃焼」


見事な酸化を見た。還元については触れてくれるな。



それからわたしは調子に乗って

「おまえは既に燃えている」

ひゃっはぁぁー!!と大いにはしゃぎながらフレッドさんのカビパンツを全て焚きあげたのだった。

お付き合いありがとうございます

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