もぐもぐタイム
「あのね。ソーセージパン12個でお腹いっぱいになるってわかったんだ」
フレッドはわたしを気の毒そうに見て言った
「それ、現時点での状態だから。テオは手足が大きいから、それなりの身体になる。もっと食べないと間に合わない」
不吉な呪いをかけられているのか。
「フレッドもいっぱい食べた?」
「ウチは弟と二人で食べていたからよく分からない。ベンの方がたくさん食べていたとおれは思う」
1升炊き炊飯器を兄弟で銘々持ちする家みたい。
ここに炊飯器も米もないからな。フムスかマッシュポテトでタワー作るしかないのか。
いや、オートミールの鍋を抱え食いするか。
「うちは親父がキレながら山で狩ってた。おれらも川で釣ったり罠仕掛けたよ」
「クマ?」
「クマも」
たくさん食材が必要なことが判明したので、豆も芋も小麦粉も業務用サイズで買うことにしてフレッドをお供に街に出たのだ。いや、配送してもらってもいいのかもしれない。
「露店で串焼買ってもいい?」
広場には幾つも軽食の露店があるし、広場に面するカフェや食品店はテイクアウトの軽食も扱っているから、辺りを漂う匂いに逆らえない。
「ちょっとだけ食べて帰るか」
一本だけ注文して露店わきのベンチに掛ける。
フレッドが二本持って来た。
「テオ、一つやろう」
焼けた肉の香ばしい匂いに顔がほころんでしまう。両手持ちで掲げる。
テンションあがる。
「ふふふ。双剣使いっぽくてカッコいい」
「普通にいやしん坊にしか見えてないから」
しおまねきのように串を構えてせっせと口に運んでいると
「お。こないだの小僧!おっちゃんがおかわりをやろう」
おっちゃんは自分の分を持ってきた。屋台のおじさんがわたしにもう一つ渡す。
急いで一本目の残りを口に入れ、おっちゃんに目礼して受け取る。
「なんだよ。こないだの大食い大会のリベンジか」
そう言って別のおじさんが自分の串を注文してからわたしを指して一本という。
せっせと二本目と三本目を食べていると四本目を渡される。
串に刺さっている肉は野生なのか牧場で十分な運動をしていたのか、とにかくしっかりとした筋肉だ。一口大に切り分けて刺してあるから口に入れているけれど、厚切りだったら食いちぎれない。しっかりと噛みしめる若くて丈夫な歯があってこその食事だ。
オオカミすごいよ。これガブシュって顎と歯の力で切り取るなんて。
よく噛んで旨味を味わう。穀物で育てた肉とは違う赤みの美味さ。
気づくと周りにエールと串焼を持った人たちがいて
「おかわりあるぞ。どんどん焼いてるから」
どうもここで臨時のフードファイトを求められているようだ。
「ご馳走になります」
露店の焼き台、店主の手から受けとるから食べてもいいんじゃないか?
小腹が空いているので意識が低く餌付けされる。
十四本食べて、周りのおじさん達に礼を言って帰る。
地方の動物園のHPで「特定の展示動物にオヤツを与える寄付」が人気で
何故か「飼育員にポテト」っていう項目があって思わずポチったことがある。
けっこう得票率高く、後日満面の笑みを浮かべた兄さんの口にポテトを入れる写真がUPされた。
アレか?
まあいい。
パン食い競争に参加してよかった。
「フレッド、ごちそうさま。おいしかった」
「よかったな」
フレッドがいたから奢られたけど、独りだと危険だから応じなかったし。
続きは明日の朝6時です。




