飢餓感2
思春期なのか。
情緒が不安定かも。
なんかね、些細なことでガン切れする。空腹時はダメだ。
雑木林と放牧地のあいだ、宿場までもう一時間ほどの街道なのに。
そして着いたら夕飯の時間だ。まだ、日が陰り出すくらいの頃合いなのに。
「んざけんじゃねぇぞ。オラァ!」
街道に倒木を落としてきた賊。先導していたロブとディックが馬を止め剣を構える。
わたしは傾斜の上に向かってスリングショットの礫を放つ。熱を纏わせ火矢のように賊を撃ち抜く。
「テオっ!火を撃つなって言ってんだろ!」
「消せばイイんだからっ!」
林の中に展開する賊に放水車のような高圧で水流をぶちまける。
傾斜のある足場が滑り賊は音を立てて転倒する。
「水で道がぬかるむっ!て何度言ったら分かるんだよ」
フレッドにどつかれる。
アルが残党をサクサク射止めている。精度が高い。
カイは逃亡を図る残党を追う。
ロブとディックは路肩に除けていた丸太を放りだして後を追う。
「道乾かしておけ。テオ。落ち着け」
そう言ってロブが懐から出したクラッカーの紙包を手に落としてきた。
「乾け乾け乾け乾け乾け乾け乾け乾け乾け乾け乾け乾け」
念じながら唱えながらアスファルトを伸すロードローラーのように道を熱々にアイロン掛けする。
「雑だな。ちゃんと馬車退けてやれ」
フレッドがわたしの口に干し肉を入れた。
硬い肉をしがみながら唱えようとすると口の端から涎が垂れる。
「んがぅ!」
わたしが悪いんじゃない。賊が道を塞ぐのがいけない。
わきまえろよ。今、何時だと思ってんだよ。ご飯時に訪問しませんって教わってないのかよ。
だから悪党なんだよ。むきゃー!
これでまた夕飯が遅くなる。ふざけんな。
発狂状態になっているわたしはフレッドを睨むと
「とりあえずそのクラッカーも口に入れろ。話はそのあと聞いてやる」
一包みのクラッカーなんて秒殺だ。
ディスポーザーみたいなすごい音を立てて嚥下する。
「岩のとこ。そこにも」
賊の骸を回収しながらフレッドに訴える。
「こんなもんを届けて報告しなくちゃいけないから、ご飯がいつになるかわからない」
「泣くな。客前だ。死体を蹴るなよ」
「泣かないし、まだ蹴ってないし。」
腹が減るとね、きゅーって痛いのよ。苦しくて切ないの。
ひょっとしてこれが恋?ってくらいわたしを支配する。
お付き合いありがとうございます。
続きは明日の朝6時です
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