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フレデリックはちょっとした魔法が使える

夕方、迷宮を攻略中にフレッドさんのただいまが聞こえる。

「お帰りなさい。お湯を今お持ちするので、ここでちょっと待っててください」

「おお全裸待機か!」

髭よ。なぜそこで嬉しそうに言う?

「脱いでもかまいませんが、冷えますよ?」


着替えとタオルと室内履きとお湯をバスルームに運ぶ。

「今日の迷宮のドロップ品は素材詰め合わせ袋でした。あとで検めてください」

「テオの迷宮はドロップ率いいな」

「宝箱の中身がネズミのミイラですごくイヤだったんですけど?」

「あー。テオももうすこし大きくなったら本当のダンジョン行こうな。もうすこしイヤなものもいっぱい出てくるからな」

そういってわたしの頭を大きな手が捕らえてグシグシとかきまわした。

まだ手をあらっていないだろう!とは、春浅いまだ寒いなか埃っぽくなるまで外で働いてきた人にいえなかったけれど。


茹でた塩蔵塊肉をうすく削いで、朱い人参ドレッシングをかける。

ハード系のチーズをカッティングボードに載せてクラッカーを添える。

錫のゴブレットと昨日買ったぶどう酒の瓶を出す。

「蕪と人参とカリフラワーをピクルスにしていますが召し上がりますか?」

「ちょっとだけ貰おうかなあ。それ酸っぱい?」

「子ども向け、酸っぱさ控えめにしています」

そういうと髭面がちょっと嬉しそうにしていた。


「テオ。ちゃんと食べているか?しっかり食べて大きくならないとおまえが獲物を狩る前におまえがおやつにされちまうからな」

「大きくなっても餌食にされるかも知れないじゃないですか」

「逃げ足を磨こうか」

「いやそこは魔法を使って対抗したいです。フレッドさん魔法は使えますか?」

「考えてモノを言えよ。それが出来たら魔法使いになっているだろ?」

「あれって本当にいるんですか?見たことありますか?髭のおじいさんが大きい杖持ってローブをこうヒラヒラって」

「オレが見たのはそう言うのじゃなかったなあ」

と口の中でもそもそと言い顔を顰めていた。いやなものを思い出しているような。


「ああ、でも、ちょっとしたことなら出来るぞ。コップを持ってこい」

マグカップを差しだすと

「水」といって指さした。

指先からひゅっと現われて、マグカップに水が満たされる。

「こういうことだろう?」

拍手万雷である。

「カッコイイ!」


塩蔵肉と香草ベースのスープに芋のニョッキを放りこみ、浮き上がったところでリーキを刻んで散らす。

締めのラーメンの替わりだけど、

「呑んだ後に食べる習慣て、ありますか?」

「目覚めた瞬間からあらゆるタイミングでとれる食事は全部摂る」

「おおお!店長、男前!すてきー!食べてー!」


酔っ払いをおだててもちあげて、魔法の発動方法を訊ねた。

しかし風呂あがり、腹一杯の酔っ払いは、あっけなくて。

「それは、んんんー。あれだ。こう…」

言いながら、すよっと寝付いてしまった。

「…っ」

野営もする人だし、枕かまして毛布掛けておく。

ベッドで寝ろとかそういう世話を焼かない。


「酔い潰すと就業時間短くなっていいな」

洗い物を済ませて、湯を使って火を落とし早寝する。大掃除しているからわたしも疲れているのだ。

お付き合いありがとうございます

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