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【本編完結】小学生で迷子になっている   作者: へますぽん
王都 十三歳〜

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かなしみベーコン

未成年の飲酒があります。不快な方はこのまま閉じてください。

悲報と蒸留酒をロブに届ける。

第一報は既にカイがもたらしたが、愕然とするロブをスルーしてサッサと着替えてでかけたらしい。

私たちがトカゲを売って時間を充分つぶして帰宅した時は、アルとディックが戸棚のナッツや乾き物と秘蔵の酒瓶で宥めていた。

お祭が終わったのに長い夜になりそうだ。


「だって、この時期はみんな忙しい。彼女もそう言っていたし。いったいどうすれば良かったっていうんだよ」

郷土人形のようにカクカク頷きながらさらにつのタンブラーに注ぐ。

言葉が続かないアルもフレッドも

「ほら、ふかし芋あったかいうちに食え。美味い」

「この鱒の燻製も酒にあうから」

と口にモノを詰めて泣き言を封じる。

暴飲暴食でフォアグラになりそうだ。

これが『悲しみベーコン』の生産現場なのか。


「テオも飲め」

「飲んでる。自作のワイン、びっくりするほど不味い。罰ゲームみたいな味する。ロブも自戒のために飲む?」

酸っぱくて渋い。なんかチクチク舌を刺す。

タライに入れたブドウを愛らしい娘さんが歌いながら踏んづけて作る。っていうアレを試したかっただけだ。

領主も農民もブドウの収穫にわき立つ絵画を見た。

老若男女が畑のブドウを収穫し、踊るように潰して、樽に詰める一連の作業が一枚の漫画のように描かれている。一遍上人絵巻みたいで好きだった。

踏むだけカンタンって、本当にできるのか知りたかったし。

用意したブドウの品種が良くなかったのか管理が悪いのか樽なのか、わたしなのか。

濁って怪しい果汁の色。湧き出す泡。不穏でしかない。

腐敗ではないようだが。このまま酢になるのを待ってもいいかなあ?なるのかな?

不安な日々。


反省の為、時々口にする。料理で使えば無駄にはなるまい。

ロブは警戒しながら僅かに口に含んだソレをへの字に結んだ唇の端から垂らしそうになっている。

「ひどいな。鼻水垂れそう」

「ほら、タオル」

ロブがタオルに顔を埋めながら、時々ブドウ汁を口にして

「本当にひどい」

と鼻声で繰り返す。


鼻をすすりながらつぶれたのを横目に

「ひどいって言えばアスタさんってどうなってるかアルは知っている?」

「ひどいの代名詞か?」

「そこまで正直じゃないけど、あの依頼のしかたは悪どかったじゃん。あの後もなんか言ってきそうだったし」

「大丈夫。いまあそこトカゲラッシュで沸いてる」

お付き合いありがとうございます。


なお作中のブドウ酒制作はフィクションです。アルコール度数1%以上のものを許可なく作ると犯罪です。

実際にブドウ酒作りを体験したい場合は山梨県の一部ワイナリーで楽しめます。

(現在行われているか不明なためご確認ください)

ブドウを踏んだりラベルを描いたりして、後の発酵などの管理はお任せ。クリスマスには届きます。

ちょうどブドウ狩りシーズン、また行楽が楽しめるよう疫病の収束を願っています。


続きはまた明日の朝6時です。

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