お祭り1
毎年のことだけどお祭り期間は忙しい。
お祭の一月前から町中が少しづつ浮き足立ってゆき、前日あたりは準備で発狂しそうだ。
本来はその年の農作物の豊作や安寧などを祈る祭事らしいけれど
農村ではない都では国王陛下が神様に祈りを捧げ、臣下に今年のお言葉をくださる。
王様を直接目にする(すごく遠目だけど)貴重な機会なのである。
お祭りに合わせて帰省する人のための旅行用品、携行食、お土産物。
来都する人を迎える物販店、宿や飲食店の仕入れ。
お祭の衣装、ご馳走だって必要。
それら全てを支える流通の一端を担っているわたし達。
ちょっとした欠品などは馬車よりも速く届けられる。
商機を逃がさない!と割高でも一走りしてこいと使いに出される。
もちろん毎回、ふざけんな。馬車雇えよっ!てキレるくらいの荷物を持たされる。
その上タイムアタックしているのかってくらいの速度で納品を求められている。
叶えてしまうから、増長するんだと思う。
そもそも、ブラック勤務なんて概念ないからしかたないね。
コンプライアンスなんてまだ誰も食べたことないし。
なんといっても人権が無いしね。
当然、婦人の権利もないのよ。
だからね、このあいだ聞いた王妹殿下の活動はものすごい偉業だと思って見ている。
お祭までの間は全く身動きが取れない忙しさで、食事どころかトイレにも行けない。気づけば日付が変わっているような劣悪な状況だけど、いつかお城のバルコニーに立つ殿下の姿が見たい。
お祭は3日かけてイベントをこなしてゆく。詳細は聞いても覚えていない。
ひたすら配送あるのみだ。
お祭中もギリギリまで商戦は続く。納品もひっきりなし。
街はお上りさんと酔っ払いと仲良し家族及びその予備軍で道が塞がれる。前見て歩くやつなんかいない。
頭踏んで歩きたい。急いでいるのに通れない。
「幸せそうでムカつく」
「テオが珍しくささくれてる」
「カイはデートに行かなくて怒られないの?」
「今晩行くから。しっかり稼いで貢げって」
「ロブは逃げられた。一月も音信不通にして待ってると思うのかだってさ」
「なにそれ。フレッドがなんで知ってんの?初耳なんだけど」
「だっておれ、さっきついでで伝言に寄って、返事伝えに行くとこだもん」
当人も知らない悲報を。
「今日は夕方の納品で終わるから。夕飯は座って食うぞ」
最終日なのでフレッドはホッとしている。
「それ、ロブも一緒?」
「どうするかなあ。朝まで付き合うのもダルいけど、無下にもできないし」
「…よし。つぶす。話は今度聞く。今日はムリ」
「若いって非情だね」
「カイが参加する時に実施って事で」
イヤそうに黒くて太い眉をよせて
「そうそう。納品したらトカゲの余剰を売っておいで。いまがたぶん相場のピークになっているはず」
お付き合いありがとうございます。
続きは明日の朝6時です
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