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【本編完結】小学生で迷子になっている   作者: へますぽん
王都 十三歳〜

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春の行商4

わたしは春のお祭り用の衣装を譲ってもらった。

刺繍製品の買い取りをしている商人のところに、とても上手な奥さんが納品に来ていた。

正確なステッチと鮮やかな配色と艶やかな糸の質感で特に評判のよい職人だと商人も褒めちぎっている。

娘さんの去年の衣装はもうサイズが合わないので、今年は母子で製作しているのだという話を聞き、とてもうらやましく習いたいと思う。

わたしの手は遅いので、手縫いだと小品でも2時間くらいはかかるから、ムリなんだけど。


それでかわりに去年の衣装を強請ったのだ。


イルワの衣装とは形も異なるしスカートは黒でちょっとシックだ。

でも身頃を覆う連続模様の刺繍はふんだんに、そして肉厚な質感で刺されていて素晴らしいのだ。


年頃の娘さんの衣装を譲りうけたいと言えば、お変態とかいろいろヤバい眼で見られそうなので、

妹のお土産にしたい。

違う地域の刺繍はきっと彼女の勉強になるとか一生懸命に言い訳をした。

信じてもらえるかは、ちょっと自信が無い。


わたしは男児としてはとても小柄で150㎝に満たない。

フレッドには、よく食べろ。とか、運動しているからちゃんと大きくなる。とか

わりと気を遣われている。が、率直にいうと気にしていない。


わたしも家族も成長期が来るのが遅いのだ。いずれ充分巨大化する。

しなくてもいいけど。


だから今だけちっちゃくて「カワイイ」のはうれしい。

日焼けして焦げているとか痩せてくびれもないとか、委細を問わない。

ただ小さくあどけない今が可愛くてならない。

孫のように自分を愛している。

今しか着られない服を愛している。

愛らしい派手な小さい服。

器量ではなく若さで着る。


今回いちばん嬉しい買い物をした。



お付き合いありがとうございます。

続きは明日の朝6時です


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