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【本編完結】小学生で迷子になっている   作者: へますぽん
地方都市イルワにて 八歳〜

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初めての遠出12

国外まで含めた地図も王都では購入できる。

今回移動した場所のおさらいもできるので縮尺違い3種類と詳細付きのと地図を買った。

「おれのは古くなったから、今度見せてね」

そんなに頻繁に改版するのか?

「フレッドさんはいつお求めになったんですか」

「15歳になった時、親父のお古」


「そういえばまだ約束の魔法、とっておきっていうのは拝見してないんですが」

「あああ。そうだったかな」 

なんだ。もったいつけてる。秘伝なのか?大規模な術なのか?


ここではアレだから。そう言って宿に向かう。途中エールと茹でたてソーセージを買っていた。


「テオー!昨日みたいにお湯出して」

浴室にシャワーがないので呼びつけられる。尻を見たくないので目隠しを置いてお湯を供給する。

「それ有るとなんか窮屈なんだけど」

「お尻を見せたいお変態なんですか?八重咲きの花に見紛う小鳥のお尻くらい鑑賞するポイントがあるんですね?」

「おれの尻はエクボあるって!」

どうしよう。知りたくもないどうでもいい情報。

「お尻より魔法が見たいんですってば」

「今?おれ、全裸で魔法披露?」

なぜそこで嬉しそうなの?お変態なの?何を開陳したいの?

否。言わせん!


お下劣。


「テオ。その蔑む眼差し、抉ってくる。…すごく良い」

「ウオーターボール!!」

想像以上に大きな水の塊が浴室いっぱいに出現してフレッドさんを飲み込んだ。

もちろんわたしも頭からずぶ濡れになった。


水を無駄に放ったので洗濯どころか自分のためのお湯も出なかった。

洗濯は翌朝にして濡れた髪と服を始末した。


フレッドさんは久しぶりの飲酒をしていた。

そしてエールなのに、まさかの勢いで酩酊し寝落ちした。


翌朝、ギルドの掲示を見てから出立する。


王都発の商隊の護衛の仕事はとても多い。国内の各地へ向かうさまざまな規模。

フレッドさんだけならこの仕事も受けられただろう。


「去年の秋頃、運命の乙女っていうのを探している人たちが王都から来てたの覚えていますか?こちらでは全く話題になっていなかったので、ビックリ」

「最終的に何人集めたんだろうな。その子達は今何してるんだろう」

「知りたかったんです。あと、捜索のお兄さんにも会いたかったです」

「あの赤毛?なんで赤毛あんなに子供にモテてたんだ?」

「乙女っぽいってヘレンが認定したから!」

「…ちょっと。子どものノリは分からなさすぎる」


今イルワに急いで帰っても暑いから、湖に寄って帰ろう。

珍しい蝶とかトンボもいるぞ。


都会で過ごす価値のわからないわたしとフレッドさんは仕事も得られなかったので

高原に寄り道して帰ることにして王都を出た。

王都から五日で着くところを、湖経由だと四日かけて現着して残り二日でイルワにつくよう北に周り道する。


急ぎでもないのにまた進めるだけ進んで道端で倒れるように眠るスタイルで踏破してゆく。

宿場で休む知恵を身につけろ。

フレッドさんはやはり馬鹿なのかしら。


「初めて遠駆けできるようになった頃、すごく嬉しかった。道が続く限りどこまでも遠くにおれは行ける。とてつもない開放感と自由を感じた。

だって、馬車に乗って旅に出るのとは違う。自分の気持ち一つで立ち止まって眺めることもできる。手に取ることもできる。馬車は決まった停車場所以外は止まらないだろう?って自分の馬車があれば違うんだけどな。おれは乗合馬車に乗ったことしかない」

行先も通る街道も自分の関心の赴くままに進む、自由度の高い移動の例えようもない楽しさ。


免許を取りたてのドライブの高揚感に似ているのだろうか。

夜中に人気のない埋立地を周回した。ハンドルを握る、それだけでゲラゲラ笑っていた。


フレッドさんは馬鹿なんじゃない。騎乗が楽しくて仕方ないお年頃なんだな。

そしてわたしもお馬が嬉しい。わたしを旅のお供に選んでくれて嬉しい。

お付き合いありがとうございます

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