初めての遠出11
「現地で売るより良い値がついた。届けた甲斐があったな」
次の仕事の護衛までずっと働かない。ってフレッドさんは嬉しそうだ。
「半分はテオの稼ぎだ」
「じゃあ、登山靴代の借金もブーツの時の借金もさっき買った服代も返せるんですね?」
「もっと買える。それに解体したトカゲ代もギルドから振り込まれているだろう。今回はいい仕事だったな!」
「あ。王都にお届けする品物は?」
「…!!いまっ!」
危ういところだった。腐敗に急かされて王都に駆けつけたから充分間に合ったんだけれど。
「今回着替えてから届けただろう。そうしたら、なぜ?ってくらい評判良かったんだ。普段も感じが悪いことはなかったんだけど、女中さんがすごく愛想良かった」
「フレッドさん、モテたんですね。良かったじゃないですか。デートしてもらえそうでしたか?わたしは留守番しますよ?」
「案内してやるって言った子いたな」
「うん!って返事しましたか?してますよね?行きなさい。ぜひ!ちょっと弄ばれてきなさい!!」
「…テオ。怖い」
都会の女はおっかないぞ。って幼い頃から言い聞かせられていたらしい。
そのため、また今度な。って逃げてきただと。腑抜けが!!
「結婚は早い者勝ちです。条件の良い女はさくさく他人の妻になります。もう良い年なのでちゃんと考えなさい」
「テオがお見合いおばさんみたいになった!」
「結婚するときは教えてくださいね。先日伺ったようにアルさんとかロブさんのとこに移ります」
「あいつらも結婚したら?」
「その頃には誰か嫁さんに逃げられていると思うんですよ?」
っていうかあと数年で独立を目指しているので、それまででいいんだ。
新鮮なトカゲは倍値で売ったらしい。
交渉次第でもう少し値引きするかもって思いつつも強気の値段を受け入れられた。
っていうか、死後1週間経っているから季節柄腐っていて当然なものを新鮮に届けるミラクルを成し遂げたんだ。真っ当な評価だろう。
「テオ。しばらく遊んで暮らすんだけど、王都で過ごす?いつ帰りたい?」
「今日は移動したくないです。明日お土産とかお菓子を買ってから、帰る?」
「もう急がないから宿を取りながら帰るのもいいなぁ」
「何も仕事受けないで移動するんですか?」
「依頼受けないっていうのはないか。」
休暇を一日はさんで依頼があれば受注して届けながら帰ることになった。
2泊宿を取った。
暖かい食事も取れる。素晴らしい。
1週間ぶりのベッド。感無量だ。
「明日洗濯するので衣類を出しておいて下さい」
そう言って毛布の中で溶けた。
寝坊して朝湯を使いながら衣類を傍らでグルグル縦回転させて洗浄する。
フレッドさんは朝食後二度寝中。
浴室にもベッドルームにも洗濯物を干しまくってから、王都の名物を食べにゆく。
「そういえば、トカゲ捕ったらアイス食べさせてくれる上に魔法を見せてもらえるんでしたね」
「アイスな。なんのアイスが良い?」
「チョコミント一択ですね」
「?」
ないらしい。そうか。好き嫌いが別れるよね。この国では受け入れられなかったのか。
「話のタネになるので、一番売れているヘンなフレーバーにします」
焼肉アイスだった。脂が固まっててヤバかった。ジンギスカンキャラメルより反省してほしい。
ロブさん達のお土産も選ぶ。
昨日の小切手は早速換金して財布に収めた。
大金で浮かれる。
フレッドさん、オシャレシャツを着たらモテているので、やっかまれるかもしれない。
いらん気をまわして流行りの襟のついた秋物のシャツを土産に決めた。
ボルドー、ボトルグリーン、チョコレート、藍色、濃色の長袖を買う。色のバリエーションもさることながら大きいサイズも充実していてさすが大都市。
「フレッドさん、普段手に入らない珍しいお酒とか買っても大丈夫ですよ。持てます。」
各地の特産のお酒を2~3本ずつ何種類も選び宿に届けてもらう。
オーバンさんの商店では見ない乾物もスパイスもジャンジャン買う。
携行食も珍しいモノがあったので買う
ラディグルの本店にも行って、リボンをごっそり買う。リボントークを存分に楽しみ商品情報を強化した。メンバーカード貰った。
日持ちのする焼き菓子もいくつも菓子店を巡って買い集めた。
フレッドさんも武具店で高級刃物を堪能する。品質が段違いらしい。
散々悩んで、トカゲ景気だしいいか。と腰の剣を下取りに出して新しいのをつけていた。
でもおまえ今回それ一回も使わなかったんやぞ。っては言わなかった。わたしエラい。
一日中財布を握りしめて街を徘徊してフラフラになる。昼ごはんも食べ忘れたほどだ。
ギルドに2件の配達完了報告をして、依頼の掲示を見る。
月末月初の納期で立て込んだ時期は過ぎたらしい。そもそもこの遅い時間に残っていない。
「ないねー」
嬉しそうにフレッドさんは笑って早めの夕食にしようと
オーバンさんの勧めてくれた羊肉のシチューの店に向かった。
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