初めての遠出9
王都前の休憩で結界の中で湯を浴びて髪も顔も石鹸で洗う。白い襟付きのシャツに着替える。
「フレッドさんも汗流しませんか?お湯出しますよ」
「やっと気づいたか!おまえが羨ましかったんだよー!」
その場で脱ぎはじめたので、止める。結界の中で脱がないと足に泥がつくのだ。
ぬるいお湯を頭から浴びせる。
「うお!石鹸の泡が立たない!テオもっとお湯かけて」
わたしは不透明の結界の外から声かけに応じてお湯を出したり止めたりしているが
フレッドさん相当汚れていたので危うくドラム式って言いそうだった。
お上りさんで異臭してたら足元見られるよね。
街を囲う壁は高く城塞都市らしい威圧感に震える。
ギルドカードを見せて門をくぐり、馬を預ける。
商店街の年季の入った床屋を選ぶ。
「約束があるので急いでいますが、あのお兄さんみたいな髪型にしてほしい」
オモテを通るイケメンを指してオーダーする。
この蓬髪じゃ人に会えない。って伝わったらしい。
「兄はここのお兄さんみたいなオシャレな感じがいいんですが早くできますか?」
意識の高そうな理髪店員をモデルにする。
「へ?おれも?」
「さあ、座って!時間ないんですよ」
サクサクと髪を切り落とす音を聴きながら、表を通る人の身なりを確認する。
だいたいの流行は分かった。
わたしは子どもカットで早い。15分ほどでそれっぽい仕上がりだ。
フレッドさんは髭があるのでもう少しかかる。
「兄さん、お金ください。すみません。服を買いたいのですが、店はどこにありますか?」
理容師さんオススメは庶民的な衣料品店だ。わかっている。さすがだ。
わたしとフレッドさんのズボンとシャツ、靴を買う。
急いで理容店に戻る。サッパリしたフレッドさんは店の人と寛いでニコニコおしゃべりをしていた。
「兄さん、これに着替えて下さい。中に入って」
店の隅に不透明の結界を張ってダークグレーのシャツと白いズボンを一緒に封入する。
「脱いだ服は預かります。兄さん支払いよろしく」
「テオ!さっきからなんなの?」
「…。ねえ。ウチの兄どうでしょう?」
「垢抜けたね。これならアリ。夏だしもっと思いきった色も俺は好き」
「オレンジとか紫のシャツは?」
「そういうことだよ!金貨みたいなオレンジが良い」
「あとで買いたします」
さすが大都会の庶民。すいぶんと捌けたトレンドだな。開店祝いの花輪みたいだ。
フレッドさんは赤みのある茶髪なので鹿毛の馬と色味が似てる。
理容師の技量で馬のように光沢を増し、流行りを意識させる。いい。
シャツの濃いグレーと連日の騎乗による日焼けでトーンがお揃い。
160kgともう1頭のトカゲを持ち上げる肉体美はチープなシャツをも美しいフォルムに見せる。
野趣あふれる男っぷりだ。
最速で外見は整えた。トカゲ売りに行くぜ。
お付き合いありがとうございます
続きは明日の6時と夜8時過ぎです。




