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【本編完結】小学生で迷子になっている   作者: へますぽん
番外編

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先立つもの

たたたたたたっ!たたっ!!


忙しないノックと共に扉を開けてノルが現れる。

「ユーリカっ!菓子買ってきた」

ドアを叩くだけ彼は上品だ。

フレッド以下おっさん連中は、おーぅってうなりながら入ってくるだけだからね。


唐突だが、あいかわらず、ノルは金がない。


フレッドのお宝、魔鉄の剣がうらやましくてならないからだ。

あのときですら高価な品物が現在三倍にも四倍にも急騰して到底手が出ない値段になっている。

高すぎるだろって購入当時わたしは呆れたのだが、フレッドはその話になると

おれには見る目があったのさ。と毎回ドヤってウザい。

いずれ状況が落ち着いたら価格も今のままってことにはならないだろうから

それまでにお金を貯めておけばいいじゃないか。

そういわれてノルは貯金に勤しんでいるのだ。


カイはああ見えて装備は所詮道具。切れれば大丈夫。手入れをすればそこそこ何でも使えるものだよ。と拘泥しないらしい。

まず形から。良い道具は足りない技術を補ってくれる。と考えるむきもあり

道具好き勢のフレッドにノルは同調している。

装備には命がかかっているからそれも否定できない。


このところの危険な業務は報酬も良い。

ただ、命あっての物好きなのでどこまで続けるのか毎回額をつきあわせてため息をつく。


ロブとアルは今度こそ引退資金を得たいのだ。


「もう、この際馬車じゃなくて、ロバでもいい…」

「…あぁぁ。ロバ。いいかも」

「……おいしいしねぇ」

ロバ、コスパ良いから。そうカイが相づちを打つと

アルが続けた言葉にびゃってなる。


「?…いや。なかなか機会がないけど、あれはみんな好きだって。しばらく食べてないなぁ」

「どうした?テオは嫌い?可愛いし、賢いし、力もちだし、美味しいし。最高だろ?」

「もったいないから、めったに潰さないけどね。テオの嫁入りのときは要る?旨いぞ」

口々になぜロバを否定するのか?という顔を向けるロブ達から目を反らし

ノルに助けを求める。

「あー。うちにもロバいなかったんで機会がなくって。ユーリカの村もそうでしょ?」


ロバのパン屋さん。などとわたしの内心はほのぼのしていたのに。

中国韓国で人気食材が犬。って聞いたときの愛犬国民の心情はこんなかんじだろうか。

犬でも馬でも鯨でも食文化だろう。ありがたく命を喰えよ。ってスルーしてたけど、不意打ちで自分に降りかかるとまあまあ震える。


「ユーリカが意外と動揺してて、可愛い」

こそっと囁いてくる。

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