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【本編完結】小学生で迷子になっている   作者: へますぽん
番外編

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227/230

誤爆

フレッドの逞しい頸、広く厚い肩からもりっと筋肉の乗った腕。

隆々たる体躯から繰り出されるげんこつが

わたしのおつむりに。。。。


「…いたい」


そのまま蹲って動けない。

涙がじんわりとにじんでくる。


「良かったな。いたいのは生きてる証拠だ」

フレッドにぶっ飛ばされたらひょろいわたしなんぞは逝っちゃうからな。

手加減されているはず。

…たぶん。


「どうして何度言っても加減して使うことを憶えない!!今度こそおれは死んだ。ってあのとき覚悟したんだぞ!」


高く立ち上がりうねる火柱と巻き込む風に賊もろとも焼かれそうになったフレッドが怒っている。

馬で駆け抜けて避けたフレッドのほうを追うように何度も火柱が接近してきたらしい。

まさにフレンドリーファイヤ(人懐こい炎)


蹲ったまま、痛む頭を抱えて思うことがろくでもない。


どやしつけるフレッドのまわりをおろおろとノルがうろつく。突っ伏したままでも彼のブーツが何度も視界に入る。

殴られているのを止めたいけれど、出しゃばることもできない立場でどうにかしたいんだろう。

いいんだ。

ノル。


賊が多くて怯んだわたしが加減をしくじった。

過剰に火を使えば一帯が火災になる可能性があったし、消火しても辺りは水浸しになっている。

ぬかるみになって荒れた道も、周辺に散らばる骸を始末しなくちゃどうせ通れないけれど

もっとスマートにやる方法があるはずなんだ。

スマートな殺戮ってなんだよ?

毎回口に出さないように、ひいぃぃぃぃってなってるよ。

言ったところで状況が悪くなるだけだから、黙っているだけでたぶん脈拍とか測れば小鳥のように早いと思う。


そして今フレッドの背後や右やら左を近づくでなく離れるでなくもそもそと動くノルは

実家の飼い猫のようだ。

家族が諍うのをとても厭がる。

筍のお菓子か茸のお菓子かどっちだ?

って声高にはしゃいでいるときですら、猫はなぁ。なぁ?なあぁ。そういって終始宥めに掛かる。茸筍は喧嘩じゃないよ。

なんなら脚にすがりついて留める。

もちろん冷蔵庫のプリン返せ!ってキレてるときなどは、全力で怒りを静めよとなきまくりだ。

是も非もなくひたすら宥めにくる。

家族は仲良く猫の前にすわっているのがよろしい。


ノルが猫の真似をしているとは思わないけど、なんとか怒りを解こうとしているのはいじらしい。けれどたぶん近い将来とばっちりでぶっとばされるだろうな。

「ノル。向こうを片付けてきて」


「テオも始末してこい。…ちゃんと道の外にしろよ!!」


ちっ!


数が多いので骸の脇に穴を開けて埋けてしまえば重くないと思っていたのに。

道の端まで重い骸を運ぶのをサボろうとしたのがバレた。

ようやく立ち上がったところで鈍い衝撃音とともに白く目の前がスパークする。

「…フレッド。いたい。ほんとうにすごくいたい」


以前、舗装されていない道だし、いいかな?ってその場にU字溝を出現させてそこに骸をいれて土を被せようとしたら

将来肉が土に還ったとき、道に大きな窪みができて通る人や馬の脚をとる罠になるからだめだ。

とはいわれた。

でも、今回は数が多いし全部運ぶと時間かかるし疲れたしクサいしちょっとくらいなら。。。

って思っただけじゃん!!


ほんとうに賊はろくでもない。

悪いのは賊なのに力一杯殴られた。ぜったい今度は許さない。

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